MT5の分割決済(部分利確)のやり方|全決済にしない数量の入れ方

MT5でポジションを一部だけ決済するには、保有ポジションをダブルクリックして注文画面を開き、数量を保有ロットより少ない値に変更して「〜 を成行決済」ボタンを押すだけです。全決済と操作画面が同じなので、数量の入力を間違えると全部閉じてしまう点だけ注意してください。

パソコン版で説明しますが、スマホアプリでも同じことができます。考え方は共通で、保有ロットより少ない数量を指定するだけです。なお「一部のロットにだけ別のTP/SLを設定する」ことはできません。理由は後述します。

フィボナッチの第1目標・第2目標を分けて利確する時、この分割決済がその実行手段になります。「どこで利確するか」を決めていても、「MT5でどう操作するか」が分からないと実行できません。この記事はその操作部分だけを扱います。

手順1:決済したいポジションを開く

MT5下部の「取引」タブで、決済したいポジションをダブルクリックしてください。「ポジション: #(チケット番号)…」というタイトルの画面が開きます。

MT5の取引タブでポジションをダブルクリックする操作

複数のポジションを同じ通貨ペアで保有している場合、タブ内のチケット番号(注文番号)で見分けてください。エントリー時刻や数量だけでは取り違えることがあります。

手順2:左側で一番上の項目が選ばれているか確認する

画面の左側に、注文の種類が縦に並んでいます。今すぐ決済する時は、一番上の項目(画面では「カウントダウン注文」と表示)が選ばれた状態のままにしてください。この項目が選ばれている時は、画面下に「成行売り(Sell)」「成行買い(Buy)」のボタンが並びます。「Limit 注文」「Stop 注文」などを選ぶと、今すぐの決済にはなりません。

MT5の注文画面で左側の一番上の項目が選ばれている状態

手順3:数量を減らす

「数量」欄に、保有しているロットより少ない値を入力します。例えば1.00ロット保有していて半分だけ決済したい場合は「0.50」と入力します。

ここが最も間違えやすい箇所です。 数量を変更し忘れたまま次に進むと、保有分すべてが決済されます。ボタンを押す前に、画面上の数量が意図した値になっているか必ず確認してください。

MT5の注文画面で数量欄に保有ロットより少ない値を入力した状態

手順4:成行決済ボタンを押す

画面下部に表示される「(チケット番号・売買・数量・銘柄・建値) を成行決済」と書かれたボタン(数量に応じて表示が変わります)を押すと、入力した数量分だけが決済されます。残りのロットはそのまま同じポジションとして保有され続けます。

MT5の注文画面に表示される「〜 を成行決済」ボタン

スマホアプリで分割決済する

スマホアプリでも一部だけ決済できます。手順は次のとおりです。

  1. 決済したいポジションを長押しする
  2. 「決済」を選ぶ
  3. 決済したいロット数を設定する
  4. 決済ボタンを押す

判断の基準はパソコン版と同じです。ロット数が保有量より少なくなっていれば分割決済、保有量のままなら全決済になります。

TP/SLを変えたい場合は別の操作になります。ポジションを長押し →「ポジション変更」→「SL/TP変更」→「変更」と進みます。決済とは入口から別なので、混同しないでください。

一部のロットだけにTP/SLは設定できない

分割決済と混同されやすいのがTP/SLの設定です。MT5ではこの2つは別の操作で、できることも違います。

  • 一部のロットを決済する → その場で成行で閉じる。この記事の手順
  • TP/SLを変更する → ポジション変更から設定する。ただし保有ポジション全体に対する設定になる

一部のロットだけに別のTP/SLを設定し直すことはできません。 つまり「半分はTP1で自動的に利確し、残りはTP2まで伸ばす」という形を、MT5の設定だけで組むことはできません。

これをやりたい場合は、エントリーの時点でロットを分けて、2つのポジションとして建てるしかありません。0.2ロットで1回入るのではなく、0.1ロットで2回入る形です。こうすればポジションごとに別のTPを設定できます。

第1目標と第2目標を分けて狙う場合、この違いは実務で大きく効きます。分割決済は「その場で手動で閉じる」手段であって、「自動で半分だけ利確する」手段ではありません。 到達を待って手動で操作できない時間帯に入るなら、最初からポジションを分けておく必要があります。

分割決済ができない場合

次のいずれかに当てはまると、分割決済ができません。

  • 保有ロットが最小ロット(多くは0.01)しかない → それ以上分割できません
  • 口座タイプが分割決済に対応していない → ブローカーによっては制限がある場合があります。この場合はMT5側では解決できません。業者側の仕様が原因で操作できないケースの切り分けはMT5で気配値が表示されない原因と対処法にまとめています
  • 数量欄に保有ロット以上の値を入れている → 分割にならず全決済扱いになります

分割決済を使う場面

なお、分割ではなく全部まとめて閉じたい場合は操作が別になります。保有中のポジションを一度に閉じる手順はMT5で複数ポジションをまとめて決済する方法で扱っています。

実務でよく使うのは次の2つです。

第1目標で半分利確し、残りを伸ばす。 目標到達で全部閉じてしまうと、そこから先に伸びた分を取り逃します。半分だけ確定させ、残りは次の目標まで引っ張るという使い方です。この考え方は第1目標の判断と第2目標と残り玉の考え方で扱っています。

含み損の一部を減らしてリスクを下げる。 損切りラインに達する前に、ポジションの一部だけ先に減らしておく使い方もあります。ただしこれは「損切りをずらす」行為に近くなるため、建値移動の考え方と合わせて、ルールを先に決めてから使ってください。

補足:EAから分割決済を自動化する

MQL5では PositionClosePartial() を使うと、コードから分割決済を実行できます。

#include <Trade\Trade.mqh>
CTrade trade;

// 保有ポジションの半分を成行で決済する
ulong ticket = PositionGetTicket(0);
double volume = PositionGetDouble(POSITION_VOLUME);
trade.PositionClosePartial(ticket, volume / 2);

手動操作と同様、決済後に残るロットが口座の最小ロット未満にならないかを事前にチェックしておく必要があります。最小ロットを下回る数量を指定すると失敗します。

コードで扱う場合、MQL5の公式リファレンスに書かれている次の2点を押さえておいてください。手動操作では意識しなくて済む部分です。

  • PositionClosePartial() は「ヘッジ」会計システムのポジションを対象とする。口座がネッティングの場合、想定どおりに動きません
  • メソッドが正常終了しても、取引が成功したことを意味しません。 公式は ResultRetcode() で結果を確認するよう明記しています

戻り値だけを見て成功と判断するEAは、約定拒否や数量不正が起きた時に気づけません。分割決済を組み込む場合は、リトライ処理より先に結果コードの確認を入れてください。

まとめ

操作は「ポジションをダブルクリック → 左側の一番上の項目を確認 → 数量を減らす →「〜 を成行決済」を押す」の4ステップです。パソコンでもスマホでも、判断の基準は数量欄が保有ロットより少ないかどうかの一点だけです。

ここを毎回確認する習慣さえあれば、全決済してしまう事故は起きません。

「どこで、どれだけ決済するか」という判断の部分は、フィボナッチ逆張りの連載で扱っています。記事を書いている人間については運営者情報をご覧ください。

全部を決済する基本の手順と、口座の種類による違いはMT5の決済方法|反対注文の結果は口座の種類で変わるにまとめています。