転職成功率の分母を確かめる|架空の数字で、98.0%にも49.0%にもなる例

スクールの広告には、「転職成功率98.8%」のような数字が並びます。この数字を見る時、一番大事なのは、「何人のうち、何人が成功した割合か」という分母です。分母が違うと、同じ人数でも、割合は大きく変わります。この記事では、架空の数字を使って、分母の違いで成功率がどう変わるかをPythonで計算し、広告の数字を読む時の質問をまとめました。

(この記事の数字は、説明のための架空の例です。実際のスクールの数字ではありません。テラキャンのページには、注記に「所定の学習および転職活動を履行された方に対する割合」と書かれています)

架空の例

# 架空の数字で、「成功率」の分母が変わると何が変わるかを見る
enrolled = 100                      # 申し込んだ人
active = 70                         # そのうち、所定の学習を最後までやった人
hunting = 50                        # さらに、所定の転職活動(応募・面接など)まで行った人
success = 49                        # 転職に成功した人
print("分母が『所定の学習と転職活動を行った人』:", round(success / hunting * 100, 1), "%")
print("分母が『所定の学習を行った人』:", round(success / active * 100, 1), "%")
print("分母が『申し込んだ人』:", round(success / enrolled * 100, 1), "%")

実行結果(Python 3.13)

分母 人数 成功率
所定の学習と転職活動を行った人 50人 98.0%
所定の学習を行った人 70人 70.0%
申し込んだ人 100人 49.0%

同じ「49人が転職に成功した」という事実でも、分母を絞るだけで、98.0%にも49.0%にもなります。広告に載る数字は、大きく見える分母が選ばれている場合があります(これは、数字の見せ方についての一般的な指摘で、特定のスクールについて言うものではありません)。

2つの架空のスクールを比べる

架空のスクールAは、「成功率98%」と広告に書いています(分母は、所定の転職活動まで行った50人、成功49人)。架空のスクールBは、「成功率80%」と書いています(分母は、申し込んだ100人、成功80人)。広告の数字だけを見ると、Aの方が高く見えます。しかし、申し込んだ人に対する成功率で揃えると、Aは49%、Bは80%で、順位が逆になります。広告の数字が違う分母のものなら、そのまま比べることはできません。

数字の話は、「広告が間違っている」と決めつけるためではなく、比べられる形に直して判断するためのものです。スクールを複数比べる時は、同じ質問を、同じ形で、どのスクールにも聞いてください。

ほかに確かめたい数字

  • 途中でやめた人の割合:分母から外れていないか
  • 転職後の年収:平均か中央値か。何人の数字か
  • 転職までの期間:受講の開始から何か月か

広告の数字を読む時の質問

  1. 分母は何か:全受講生か、一定の条件を満たした人か。「所定の」条件の中身は何か
  2. いつの数字か:集計の期間。古い数字は、現在の実績を表さない
  3. 「成功」の定義:正社員か。IT職か。転職までの期間は
  4. 途中でやめた人の割合:分母に含まれているか。含まれていないなら、別に公開されているか
  5. 第三者が確認した数字か:自社の集計か
  6. 対象のコース:全コースか、特定のコースか

数字の質問を、カウンセリングで聞く文例

  • 「転職成功率の分母は、何人ですか。申し込んだ人に対しては、何%ですか」
  • 「『所定の学習・転職活動』とは、具体的に何を指しますか」
  • 「直近1年の数字を、教えてください」
  • 「途中で受講をやめる人は、どのくらいですか」

すぐに答えが出ない質問でも、答え方や、数字を出してくれるかどうかが、判断の材料になります。

分母を聞くのは、失礼ではない

カウンセリングで数字の根拠を聞くのは、ごく普通のことです。誠実な運営者は、条件を説明できるはずです。説明があいまいだったり、答えを避けられたりした場合は、その印象も、受講を決める判断材料の1つになります。数字そのものだけでなく、質問への答え方も確かめてください。

この記事で確かめていないこと

  • 実際のスクールの、分母ごとの数字(公開されていません)
  • 各スクールの「転職成功」の定義
  • 広告の数字が、法律上の不当表示に当たるかどうか(この記事は、そのような判断をするものではありません)

転職支援つきスクールの内容はテラキャンの転職コースの内容、スクールの広告全般の読み方はスクールの広告の表現を読むチェックリスト、費用の考え方はプログラミングスクールの費用を学習時間で割るにあります。

まとめ

  • 成功率は、分母で大きく変わる。架空の例では、同じ49人の成功が、分母で98.0%・70.0%・49.0%になった
  • 広告の数字は、分母・期間・「成功」の定義を確かめてから読む
  • カウンセリングで、申し込んだ人に対する成功率や、直近の数字を質問する

本記事は数字の読み方の説明であり、サンプルの数字は架空のものです。特定のスクールの評価を示すものではありません。