外注したEAのソースコードの著作権|規約と著作権法で決めること
EAやインジケーターの制作を外注すると、「ソースコードは誰のものか」「自分で直してよいか」「販売してよいか」が、あとから問題になることがあります。何も決めずに頼むと、ソースコードの著作権は、作った人(出品者)に残るのが原則です。この記事では、著作権法の条文と、ココナラの利用規約・ヘルプをもとに、外注する前に決めておく納品物の範囲と権利の扱いを整理します。
(確認:著作権法(e-Govの法令データ)第2条・第10条・第15条・第17条・第20条・第47条の3・第59条・第61条、ココナラ利用規約(第14条・第19条)、ココナラヘルプ「納品物の使用範囲・著作権譲渡について」。確認日:2026年10月21日。この記事は条文と規約の整理で、個別の契約の法的な判断ではありません)
プログラムは著作物で、作った人が著作者になる
著作権法第10条は、著作物の例として「プログラムの著作物」を挙げています。著作者は「著作物を創作する者」(第2条)なので、外注したEAのソースコードは、原則として、それを書いた出品者が著作者です。
会社の従業員が職務で作ったプログラムは、契約などに別段の定めがない限り会社が著作者になる(第15条第2項)という定めがありますが、これは「法人等の業務に従事する者」が職務で作る場合の規定です。外部の出品者に頼む外注には、そのまま当てはまらないと考えるのが自然です。
著作者は、著作者人格権(公表権・氏名表示権・同一性保持権)と、著作権(複製権・翻案権など)を持ちます(第17条)。
ココナラで頼んだ場合の、規約上の扱い
| 規約・ヘルプ | 書かれていること |
|---|---|
| 利用規約 第19条第1項 | サービスに関する知的財産権は、出品者を含む適法な権利者に帰属する |
| 利用規約 第19条第2項 | 出品者は、出品者の著作物等を、利用会員が自らの使用のために、自由に利用(複製・複写・改変・第三者への再許諾その他のあらゆる利用を含む)できる権利を許諾する |
| 利用規約 第14条第3項 | 出品者が説明などで明示的に指定した場合を除き、自ら使用するためにのみ利用できる |
| ヘルプ「納品物の使用範囲・著作権譲渡について」 | 商用利用・二次利用・著作権譲渡の可否や範囲は、取引の当事者間で決める必要がある。取引完了前に共有された成果物を無断で使うと、出品者の権利を侵害するおそれがある |
つまり、ココナラで特に決めずに頼んだ場合、著作権は出品者に残り、購入者は「自分で使うため」の範囲で、直したり複製したりできる、という整理になります。自分の口座で動かす、自分で改良する、という使い方は、この範囲に入ると読めます。一方、完成したEAを他人に販売する・配布するのは、「自らの使用のために」を超える可能性があるため、出品者と事前に決めておく必要があります。
ヘルプには、ユーザー同士の契約は利用規約で定めていて、書面の契約書や電子契約サービスを使った直接契約は控えてほしい、という注記もあります。条件は、ココナラのメッセージ(見積り相談やトークルーム)で、文章で残す形になります。
著作権を譲ってもらう場合の注意(第61条・第59条)
- 翻案権などは「特掲」が要る:第61条第2項は、著作権を譲渡する契約で、第27条(翻訳権・翻案権等)や第28条(二次的著作物の利用に関する権利)が譲渡の目的として特に書かれていないときは、それらは譲渡した人に残ると推定する、と定めています。「著作権を譲渡する」とだけ書くと、改良版を作る権利などが残ると推定されうるため、「第27条及び第28条の権利を含む」と書きます
- 著作者人格権は譲れない:第59条は、著作者人格権は著作者の一身に専属し、譲渡できない、と定めています。著作権を譲り受けても、同一性保持権などは出品者に残ります。改変について揉めないよう、改変してよい範囲を決めておきます
なお、第20条第2項第3号では、特定のコンピューターで実行できないプログラムを実行できるようにする改変や、より効果的に実行できるようにするために必要な改変は、同一性保持権の規定を適用しない、とされています。動かすための修正と、別物に作り替える改変は、分けて考えます。
ソースを受け取らない場合(EX5だけの納品)
第47条の3は、プログラムの複製物の所有者は、自らコンピューターで実行するために必要と認められる限度で、複製できる、と定めています。EX5ファイルだけを受け取った場合でも、自分のPCやVPSで動かすための複製はこの範囲で考えられますが、ソースが無いと、自分で直すことも、他の人に直してもらうこともできません。納品の確認でソースの有無を見る理由は、EAの納品を受け取った時の確認にまとめています。
依頼の前に決めて、メッセージに残す項目
| 項目 | 決めること |
|---|---|
| 納品物 | ソースファイル(.mq5)を含むか、EX5だけか。設定ファイル・説明書を含むか |
| 使う範囲 | 自分の口座だけか、複数の口座・家族の口座でもよいか |
| 改変 | 自分で直してよいか、他の人に直してもらってよいか |
| 販売・配布 | 完成したEAを販売・無料配布してよいか。してよいなら、出品者名の表示は要るか |
| 著作権の譲渡 | 譲渡するか。するなら、第27条・第28条の権利を含むと書く。料金に反映されるか |
| 出品者側の利用 | 出品者が、同じコードや一部を、ほかの人の依頼に使ってよいか |
仕様の項目の全体はEA制作を頼む時の仕様書の項目に、ココナラでの頼み方の流れはEA・インジケーターの制作を外注する時の依頼の書き方にまとめています。
この記事で確かめていないこと
- ココナラの「案件マッチング」など、通常の出品と別の仕組みでの権利の扱い(規約の別の章に定めがある)
- 完成したEAの販売が、第19条の「自らの使用のために」に入るかの公式の見解(出品者と決めることを前提にしています)
- 販売する場合の特定商取引法などのルール(EA・ツールを販売する時の特定商取引法の表記と住所)
まとめ
- 外注したEAのソースコードは、原則として作った出品者が著作者。ココナラの規約では、購入者は自分で使うための範囲で自由に利用できる許諾を受ける
- 販売・配布・著作権の譲渡は、依頼の前に出品者と決め、ココナラのメッセージに残す
- 著作権を譲り受けるなら、第27条・第28条の権利を含むと書く。著作者人格権は譲渡できない
- ソースを受け取らないと、自分で直せない。納品物にソースを含めるかを最初に決める
本記事は法令と規約の一般的な整理であり、法的な助言ではありません。高額な取引や販売を前提にした取引では、専門家に確認してください。

