高速スタートアップとWoLの関係|EA用PCで設定を確かめる(Wake-on-LAN)
EA用のPCを外から起動・再起動する方法として、Wake-on-LAN(WoL)やスマートプラグがあります。WoLは「シャットダウンしたPCを、ネットワークからの合図で起動する」仕組みですが、Windowsの高速スタートアップが有効だと、Microsoftの資料ではWoLがサポートされない状態になります。この記事では、Microsoftの資料をもとに、高速スタートアップの仕組みとWoLとの関係を整理し、自分のPCの設定をPowerShellで読み取る方法を、筆者のPCの結果とあわせて紹介します。
(確認:Microsoft Learn「Windows 10 での Wake on LAN (WOL) 動作」「System power states」「Distinguishing fast startup from wake-from-hibernation」。画面の文字列は、Windowsの日本語のリソース(powercpl.dll.mui)で確かめました。筆者のWindows 11のPCで、2026年10月21日に読み取りだけを行い、設定は変えていません)
高速スタートアップとは
Microsoftの「System power states」によると、Windowsでは、シャットダウンを要求した時の既定の動きが高速スタートアップです。高速スタートアップでは、ユーザーをログオフさせた後、休止状態のファイル(Hiberfil.sys)を作り、次の起動ではそれを読み込むため、通常の起動(コールドスタート)より速く起動します。
同じ資料には、再起動を要求した時や、アプリケーションがシャットダウンのAPIを呼んだ時は、完全なシャットダウン(S5)になる、と書かれています。つまり、高速スタートアップが関わるのは「シャットダウン」で、「再起動」は関わりません。
WoLとの関係(Microsoftの資料)
| 資料 | 書かれていること |
|---|---|
| Wake on LAN の動作 | Windows 10では、既定のシャットダウンはハイブリッド シャットダウン(高速スタートアップ)の状態(S4)になり、このシナリオでは、S4やS5からのWOLはサポートされていない |
| 同上 | 一部のシステムのファームウェアとハードウェアは、Windowsが関与していなくても、S4やS5からのウェイクのためにネットワークアダプターを準備できる場合がある |
| Distinguishing fast startup… | Windows標準のネットワークのドライバー(NDIS)は、高速スタートアップの時にはウェイクの機能を無効にし、休止状態からの復帰の時には無効にしない |
まとめると、高速スタートアップでシャットダウンしたPCを、WoLで起動できるかは、Windowsとしてはサポート外で、BIOS・ネットワークアダプター次第、ということです。WoLを使うなら、高速スタートアップを無効にしておくか、BIOS側の対応を確かめる必要があります。WoLの設定の手順はWake-on-LANの設定を確認する方法にまとめています。
スマートプラグで電源を入れ直す場合
スマートプラグでコンセントの電源を切って入れ直す方法は、Windowsの状態とは関係なく、BIOSの「AC電源が戻った時に起動する」設定で起動します(停電後にPCを自動で起動する設定)。高速スタートアップでシャットダウンしたPCでも、電源を入れ直せば、BIOSの設定どおりに起動すると考えられますが、この記事では実機で試していません。
コード:自分のPCの設定を読み取る(PowerShell)
# 高速スタートアップと休止状態の設定を読み取る(読み取りのみ・管理者権限は不要)
# HiberbootEnabled:1 なら高速スタートアップが有効、0 なら無効(キーが無ければ未設定)
# powercfg /a :このPCで使えるスリープ状態の一覧(休止状態・高速スタートアップを含む)
$key = 'HKLM:\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Session Manager\Power'
$v = (Get-ItemProperty -Path $key -Name HiberbootEnabled -ErrorAction SilentlyContinue).HiberbootEnabled
"HiberbootEnabled = $(if ($null -eq $v) { '(未設定)' } else { $v })"
"--- powercfg /a ---"
powercfg /a
実行ポリシーで止まる場合は、powershell -NoProfile -ExecutionPolicy Bypass -File .\Get-FastStartup.ps1 で、その場だけ実行できます(予期しないシャットダウンを調べる記事と同じやり方です)。
筆者のPCの結果
HiberbootEnabled = 0
--- powercfg /a ---
以下のスリープ状態がこのシステムで利用可能です:
スタンバイ (S3)
休止状態
ハイブリッド スリープ
以下のスリープ状態はこのシステムでは利用できません:
スタンバイ (S1)
システム ファームウェアはこのスタンバイ状態をサポートしていません。
スタンバイ (S2)
システム ファームウェアはこのスタンバイ状態をサポートしていません。
スタンバイ (S0 低電力アイドル)
システム ファームウェアはこのスタンバイ状態をサポートしていません。
高速スタートアップ
現在のシステム ポリシーでは、この操作は無効になっています。
筆者のPCは、HiberbootEnabled = 0 で、powercfg /a でも「高速スタートアップ」は「現在のシステム ポリシーでは、この操作は無効になっています」と表示されました。つまり、高速スタートアップは無効で、シャットダウンは完全なシャットダウンになります。休止状態とスタンバイ(S3)は使える状態でした。
設定を変える場所(画面の名前)
高速スタートアップの設定は、コントロールパネルの電源オプションの[電源ボタンの動作を選択する]にあります。[現在利用可能ではない設定を変更します]を選ぶと、[シャットダウン設定]の[高速スタートアップを有効にする (推奨)]のチェックを変えられます(管理者の権限が必要です)。Microsoftの資料には、ハイブリッド シャットダウン(S4)の状態を無効にすることはお勧めしない、とも書かれているため、WoLを使わないなら、変える必要はありません。
EA用PCでの考え方
- WoLで外から起動したい:高速スタートアップを無効にし、BIOSとネットワークアダプターの設定を確かめる。それでも起動しない場合は、BIOS側が対応していない可能性
- 再起動だけできればよい:再起動は完全なシャットダウンを通るので、高速スタートアップの影響は受けない。外出先からEA用PCを再起動する方法のshutdownコマンドが使える
- 止まったPCを戻したい:スマートプラグとBIOSの設定で電源を入れ直す
この記事で確かめていないこと
- 高速スタートアップでシャットダウンしたPCを、筆者のPCでWoLで起動できるか(試していません)
- Windows 11での挙動(Microsoftの「Wake on LAN の動作」の記事はWindows 10・7が対象)
- BIOSのメーカーごとの、S4・S5からのWoLの対応
まとめ
- Windowsのシャットダウンは既定で高速スタートアップになり、再起動は完全なシャットダウンになる(Microsoft Learn)
- 高速スタートアップの状態からのWoLは、Windowsとしてはサポートされない。ファームウェアが対応していれば起動できる場合がある
- PowerShellで HiberbootEnabled と powercfg /a を読めば、自分のPCの設定が分かる。筆者のPCは無効だった
本記事は設定の読み取り方の説明です。設定の変更は、自分の使い方に合わせて判断してください。

