フリーランス法で発注者が明示する取引条件|受ける前に募集ページで確認する最大8項目
フリーランス・事業者間取引適正化等法(令和6年11月1日施行)では、フリーランスに業務を委託する事業者に、取引条件を、書面または電磁的方法(メール・SNSのメッセージ・チャットなど)で、直ちに明示する義務があります。明示する項目は、業務の内容、納期、報酬の額と支払期日など、常に明示が必要な6つと、該当する場合に明示する2つ(最大8つ)です。口約束では足りません。クラウドワークスなどで仕事を受ける前に、これらが募集文や契約の画面に書かれているかを確認します。
この記事では、公正取引委員会の「フリーランス・事業者間取引適正化等法 ここからはじめる」(パンフレット。確認日:2026年10月19日)の記載をもとに、明示される項目と、支払期日・禁止行為の要点をまとめます。法律の適用は、個別の取引の内容で変わります。迷う場合は、パンフレットの問い合わせ先に確認してください。
1. 誰に、どの義務があるか
| 立場 | パンフレットの定義 |
|---|---|
| フリーランス(特定受託事業者) | 業務委託の相手方である事業者で、①個人で、従業員を使用しないもの、②法人で、代表者以外に役員がなく、従業員を使用しないもの |
| 業務委託事業者 | フリーランスに業務委託をする事業者(フリーランスも含まれる) |
| 特定業務委託事業者 | フリーランスに業務委託をする事業者で、①個人で従業員を使用するもの、②法人で、二以上の役員がいる、または従業員を使用するもの |
| 発注する側 | かかる義務 |
|---|---|
| 業務委託事業者(従業員を使わない個人なども含む) | 取引条件の明示義務(第3条)。報復措置の禁止 |
| 特定業務委託事業者 | 上に加えて、期日における報酬支払義務(第4条)など |
| 特定業務委託事業者が、一定期間以上(取引の適正化については1か月)行う業務委託 | 上に加えて、発注事業者の禁止行為(第5条) |
パンフレットには、取引条件の明示義務は、フリーランス同士の取引も対象であり、発注事業者がフリーランスである場合にも義務が課される、と書かれています。
2. 明示される取引条件(第3条)
| 番号 | 明示する事項 | パンフレットの補足 |
|---|---|---|
| ① | 業務委託事業者およびフリーランスの名称 | 発注事業者とフリーランス、それぞれの名称。識別できるものを書く |
| ② | 業務委託をした日 | 業務委託をすることを合意した日 |
| ③ | フリーランスの給付の内容 | お願いする業務の内容 |
| ④ | 給付を受領する、または役務の提供を受ける期日 | 納品日はいつか、いつ作業をするのか |
| ⑤ | 給付を受領する、または役務の提供を受ける場所 | どこに納品するのか、どこで作業をするのか |
| ⑥ | 給付の内容について検査する場合は、検査を完了する期日 | 該当する取引の場合のみ |
| ⑦ | 報酬の額と支払期日 | 報酬額を具体的に書くのが難しい場合は、算定方法でもよい。支払期日は、具体的な支払日を特定する |
| ⑧ | 金銭以外の方法で報酬を支払う場合は、支払方法に関すること | 該当する取引の場合のみ |
明示の方法
- 書面か電磁的方法のどちらにするかは、発注事業者が選べる
- 電磁的方法とは、電子メール、SNSのメッセージ、チャットツールなど
- 電磁的方法で明示した場合でも、フリーランスから書面の交付を求められたら、遅滞なく書面を交付する必要がある。ただし、フリーランスの保護に支障を生じない場合は、必ずしも書面を交付する必要はない
- 業務を委託したら、直ちに明示する
3. 報酬の支払期日(第4条)
特定業務委託事業者は、発注した給付を受領した日から起算して60日以内の、できる限り短い期間内で、支払期日を定めて、その日までに報酬を支払う義務があります。支払期日は、具体的な日を特定できるように定める必要があります。
| 書き方 | パンフレットの判定 |
|---|---|
| ●月●日支払 | ○(記載例) |
| 毎月●日締切、翌月●日支払 | ○(記載例。月単位の締切制度も認められる) |
| ●月●日まで | ×(違反例) |
| ●●日以内 | ×(違反例) |
月単位の締切制度の場合でも、給付を受領した日から60日以内に支払う必要があります。パンフレットの例は、「毎月末日締切、翌月末日支払」です。
4. 禁止行為(第5条)
特定業務委託事業者が、一定期間(1か月)以上の業務委託をする場合に、パンフレットは、次の7つを禁止行為として挙げています。
- 受領拒否の禁止
- 報酬の減額の禁止
- 返品の禁止
- 買いたたきの禁止
- 購入・利用強制の禁止
- 不当な経済上の利益の提供要請の禁止
- 不当な給付内容の変更・やり直しの禁止
パンフレットには、業務委託事業者への義務として、「報復措置の禁止」(第6条第3項と第17条第3項)も挙げられています。内容の詳細は、パンフレットの条文(第6条)で確認してください。
5. 受ける前の確認チェックリスト
- 業務の内容(③)が、何を、どこまで作るのかが分かるか。修正の範囲は書かれているか
- 納期(④)と、納品する場所・方法(⑤)が書かれているか
- 検査がある場合、検査の完了期日(⑥)が書かれているか
- 報酬の額、または算定方法(⑦)が書かれているか。支払期日が、具体的な日になっているか(「翌月払い」だけでなく、日付まで)
- クラウドワークスなどのサービス上で、足りない項目があれば、メッセージで質問して、回答を残す(電磁的方法は、メッセージでもよい)
サービス上の契約の画面に、これらが全部書かれているとは限りません。書かれていない項目は、作業を始める前に、メッセージで確認して、画面に残る形にしておくのが、トラブルを防ぐ手段です。パンフレットも、お互いの認識の相違を減らして、取引上のトラブルを未然に防ぐことが大切、と書いています。
クラウドワークスのシステム利用料や、案件の探し方はMQL5・WordPressのスキルで副業の案件を探すにまとめています。応募の文面は提案文の書き方を参照してください。
まとめ
- 業務を委託する事業者は、取引条件を、書面か電磁的方法(メール・チャットなど)で、直ちに明示する義務がある。フリーランス同士の取引も対象
- 明示する項目は、名称・委託した日・業務の内容・納期・納品場所・(検査の期日)・報酬の額と支払期日・(金銭以外の支払方法)
- 特定業務委託事業者には、受領から60日以内の支払期日を、具体的な日で定める義務がある
- 書かれていない項目は、作業を始める前に、メッセージで確認して、記録に残す
本記事は公正取引委員会のパンフレットにもとづく一般的な情報であり、法律の助言ではありません。個別の判断は、パンフレットに載っている窓口や、専門家に確認してください。


