個人事業の納税地を事業所にする|住所地以外を選ぶ条件と、令和5年からの手続

副業でEA販売やアフィリエイトを始めると、確定申告書の提出先(納税地)は、原則として住所地(生活の本拠)になります。ただ、自宅とは別に事業所がある場合は、事業所の所在地を納税地にすることもできます。この手続は、令和5年(2023年)1月1日から変わっていて、それより前の情報では「届出書を出す」と書かれていることがあります。この記事では、国税庁のタックスアンサーと手続の案内をもとに、納税地の決まり方と、事業所を納税地にする方法を整理します。

(確認:国税庁 タックスアンサーNo.2029[令和8年4月1日現在法令等]、「納税地の特例等に関する手続の変更について」(令和4年12月)、所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する手続の案内、総務省「個人住民税」。確認日:2026年10月21日)

納税地の原則:住所地

タックスアンサーNo.2029には、所得税の確定申告書は、提出の時の納税地を所轄する税務署長に出すこと、納税地は一般的には住所地であることが書かれています。住所とは生活の本拠のことで、生活の本拠かどうかは客観的な事実で判定される、とされています。国内に住所がなく居所がある人は、居所地が納税地になります。

納税地の特例:事業所を選べる

同じページの「納税地の特例」には、次の2つが書かれています。

特例 内容(タックスアンサーNo.2029)
居所地 国内に住所のほかに居所がある人は、住所地に代えて居所地を納税地にできる
事業所など 国内に住所または居所がある人が、そのほかに事業所などがある場合は、住所地等に代えて、その事業所などの所在地を納税地にできる

たとえば、自宅とは別の市にある事務所で事業をしている場合、その事務所の所在地を所轄する税務署に申告する、という選び方ができます。

手続:令和5年からは申告書に書くだけ

国税庁の「納税地の特例等に関する手続の変更について」によると、以前は、事業所などを納税地にする場合、「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」を、変更前の納税地の税務署長に出す必要がありました。令和4年度の税制改正で見直しが行われ、令和5年1月1日以後は、この届出書の提出が不要になりました。

時期 事業所を納税地にする手続
令和4年12月31日まで 「納税地の変更に関する届出書」を提出
令和5年1月1日以後 変更後の納税地を、所得税または消費税の申告書に記載する

ただし、年の途中で納税地を変える場合で、国税当局からの文書の送付先を変更後の納税地にしたい時は、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書」を出すことができる、とされています。提出先は、異動・変更後の納税地を所轄する税務署長です。

注意点として、事業所などの所在地を納税地にした後に、住所地を納税地とする申告書を出すと、事業所などを納税地とする変更は取りやめたものとして扱われます(国税庁の案内の注記)。毎年の申告書で、どちらを書くかを揃える必要があります。

住民税は、納税地を変えても住所地のまま

所得税の納税地を事業所にしても、住民税の扱いは別です。総務省の個人住民税の説明では、個人住民税は、その年の1月1日時点で市町村(都道府県)に住所がある人に課税される、とされています。つまり、住民税は、事業所ではなく、1月1日の住所地の市町村で課税されます。

バーチャルオフィスは「事業所など」になるか

確認した国税庁の資料には、どのような場所が「事業所など」に当たるかの細かい基準は書かれていませんでした。住所を出さないために借りたバーチャルオフィス(住所と郵便の受け取りだけを使う契約)が、納税地の特例の「事業所など」に当たるかは、この記事では判断できません(未確認)。実際にそこで事業を行っているかなどの事実で判断されると考えられるため、使う前に、所轄の税務署に確かめてください。

なお、販売ページに書く住所(特定商取引法の表示)は、納税地とは別のルールで決まります。バーチャルオフィスの住所を販売ページに書ける条件は、EA・ツールを販売する時の特定商取引法の表記と住所にまとめています。

開業届・青色申告の承認申請との関係

開業届や青色申告の承認申請書の提出先は、納税地を所轄する税務署です。書き方は個人事業の開業・廃業等届出書の書き方に、青色申告の承認申請の期限は青色申告承認申請書の提出期限にまとめています。

この記事で確かめていないこと

  • バーチャルオフィスやコワーキングスペースが「事業所など」に当たるか(税務署で確認が必要)
  • 個人事業税(都道府県の税)の課税の場所(この記事では扱っていません)
  • 引っ越しで住所地が変わる場合の細かい手続(国税庁の手続の案内で確認してください)

まとめ

  • 所得税の納税地は、原則として住所地(生活の本拠)。住所のほかに事業所などがあれば、その所在地を納税地にできる
  • 令和5年1月1日以後、事業所などを納税地にする届出書は不要。変更後の納税地を申告書に書く。年の途中の送付先の変更は申出書で
  • 事業所を納税地にした後に住所地で申告すると、変更は取りやめとして扱われる
  • 住民税は、1月1日の住所地の市町村で課税される。バーチャルオフィスが事業所に当たるかは、税務署で確認する

本記事は国税庁と総務省の公表資料の整理であり、税務の個別の判断ではありません。具体的な手続は、所轄の税務署で確認してください。