インボイス登録で公表される項目|個人事業者の住所は出るか、屋号・所在地の申出
EAやツールの販売、アフィリエイトの取引先から、インボイス(適格請求書発行事業者)の登録を求められることがあります。登録すると、国税庁の公表サイトで、誰でも登録番号から事業者の情報を調べられるようになります。個人事業者の場合、気になるのは「自宅の住所まで公表されるのか」です。この記事では、国税庁のインボイス制度のQ&Aと公表サイトの説明をもとに、公表される項目と、申出をした場合だけ公表される項目を整理します。
(確認:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問19(令和5年10月改訂)、「適格請求書発行事業者公表サイトに関するよくある質問」、公表事項の公表(変更)申出の手続の案内、「適格請求書等保存方式の手引き」(令和4年9月版)。確認日:2026年10月21日。登録するかどうかの判断は、取引の内容や売上の規模で変わるため、この記事では扱いません)
法律で公表が決まっている項目(法定の公表事項)
国税庁のQ&A(問19)には、法定の公表事項として、次の項目が挙がっています。
| 項目 | 個人事業者 | 法人 |
|---|---|---|
| 氏名または名称 | 公表される(氏名) | 公表される(名称) |
| 本店または主たる事務所の所在地 | 法定の公表事項には含まれない | 公表される |
| 登録番号 | 公表される | 公表される |
| 登録年月日 | 公表される | 公表される |
| 登録取消年月日・登録失効年月日 | 該当する場合に公表される | 該当する場合に公表される |
つまり、個人事業者は、氏名・登録番号・登録年月日が公表され、住所は法定の公表事項に入っていません。一方、法人は本店(主たる事務所)の所在地が公表されます。国外事業者の国内の事務所の所在地など、ほかの区分の項目もありますが、ここでは省いています。
氏名は、本名(住民票の氏名)が原則です。住民票に併記されている旧姓(旧氏)や外国人の通称を、氏名に代えて、または併記して公表したい場合は、別に申出書を出す、と書かれています。
申出をした場合だけ公表される項目
Q&Aには、本人の申出にもとづいて追加で公表できる事項として、個人事業者の「主たる屋号」と「主たる事務所の所在地等」が挙がっています。公表を希望する場合は、「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」を出します。
- 申出をしなければ、屋号も事務所の所在地も公表されない
- 公表サイトのよくある質問では、申出で公表できる屋号・事務所の所在地は、それぞれ1つ(1か所)とされている
- 国税庁の手続の案内では、申出書はe-Taxで作成・提出でき、書面の場合は納税地を管轄する業務センターへ送る、とされている。登録申請書と一緒に出すと、申出の内容を反映した状態で公表される
自宅の住所を公表したくない場合は、この申出をしない(または、事務所として使っている場所だけを申し出る)ことになります。屋号を公表すると、取引先が屋号で検索した時に見つけやすくなる面もあります。
公表された情報は、どこまで広がるか
公表サイトには、登録番号で検索する機能のほかに、公表情報のダウンロード(全件・差分)と、Web-API(アプリケーションIDの届出が必要)があります。つまり、公表された氏名と登録番号は、取引先だけでなく、データとして広く取得できる状態になります。
また、公表サイトのよくある質問では、登録が取り消された場合や効力を失った場合でも、取引先が取引時点の登録状況を確かめる必要があるため、取消(失効)後7年間は情報を掲載する、とされています。登録をやめても、すぐに消えるわけではありません。
請求書に住所は書く必要があるか
国税庁の手引き(令和4年9月版)に挙がっている適格請求書の記載事項は、次の6つです。
- 適格請求書発行事業者の氏名または名称、および登録番号
- 取引の年月日
- 取引の内容(軽減税率の対象なら、その旨)
- 税率ごとに区分した合計金額と、適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額等
- 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
この中に、発行する側の住所は含まれていません。手引きには、様式は法令で定められておらず、必要な事項が書かれていれば、請求書・納品書・領収書などの名称を問わない、とも書かれています。ただし、取引先から住所の記載を求められることはありますし、特定商取引法の表示(販売ページに出す住所)は、インボイスとは別のルールです。販売ページの住所の扱いは、EA・ツールを販売する時の特定商取引法の表記と住所にまとめています。
整理:個人事業者の住所が出る場面
| 場面 | 住所が出るか | 根拠のルール |
|---|---|---|
| インボイスの公表サイト | 申出をしなければ出ない | 消費税法(国税庁のQ&A問19) |
| 適格請求書(請求書・領収書) | 記載事項には含まれない | 国税庁の手引き |
| 通信販売の販売ページ | 原則として表示する(請求で提供する方法・バーチャルオフィスの条件あり) | 特定商取引法(消費者庁のQ&A) |
表示しない条件の詳細は住所・電話番号を表示しない条件に、アフィリエイト収入の所得区分はアフィリエイト収入は雑所得か事業所得かにまとめています。
この記事で確かめていないこと
- 登録したほうがよいかどうか(取引先の要望、免税事業者のままでいる場合の影響)
- 2026年10月以降に、公表事項や手引きの改訂があったか(確認した手引きは令和4年9月版、Q&Aは令和5年10月改訂の版)
- 申出書の記載例の細部(国税庁の記載要領で確認してください)
まとめ
- 個人事業者のインボイス登録で法律にもとづいて公表されるのは、氏名・登録番号・登録年月日。住所は法定の公表事項に入っていない
- 屋号と主たる事務所の所在地は、申出書を出した場合だけ公表される(それぞれ1つ)
- 公表情報はダウンロードやWeb-APIでも取得でき、登録の取消・失効後も7年間は掲載される
- 適格請求書の記載事項に発行者の住所は含まれないが、販売ページの住所は特定商取引法の別のルールで決まる
本記事は国税庁の公表資料の整理であり、税務の個別の判断ではありません。具体的な手続は、国税庁の案内や税務署で確認してください。


