MT5のADXとDMIの使い方|+DI・-DIで何が分かるか

ADXはトレンドの「強さ」だけを示す指標で、方向は示しません。方向を示すのは同時に表示される +DI と -DI です。ここを取り違えると、下落が強まっている場面を上昇と読み違えます。

MT5では「Average Directional Movement Index」を1つ挿入すれば、ADX・+DI・-DI の3本がまとめて表示されます。DMI用に別のインジケーターを探す必要はありません。

この記事では3本それぞれの役割、MT5での表示手順、数値の目安、MQL5から値を取る方法までを扱います。

(確認環境:MetaTrader 5 / Windows 11)

3本の線が示すもの

線 示すもの 方向の情報
ADX トレンドの強さ 持たない
+DI 上方向への圧力の大きさ 上方向
-DI 下方向への圧力の大きさ 下方向

DMI(方向性指数)は +DI と -DI の2本を指し、ADXはその2本から計算される「強さ」の線です。3本セットで扱うのが前提の指標です。

よくある誤解:ADXが上がっても上昇とは限らない

ADXは +DI と -DI の差の大きさから計算されます。差が開けば値が上がり、縮めば下がります。

つまり、下落が強まっている場面でもADXは上昇します。「ADXが上がってきたから買い」という読み方は成立しません。

ADXを見る時は、必ず +DI と -DI のどちらが上にあるかを先に確認してください。順番を逆にすると、強い下落トレンドを強い上昇と取り違えます。

MT5で表示する手順

  1. メニューの「挿入」→「インディケータ」→「トレンド」→「Average Directional Movement Index」を選ぶ
  2. 「期間」を確認する(初期値は14)
  3. 「OK」を押す

チャート下のサブウィンドウに3本が表示されます。線の色が見分けにくい場合は、線をダブルクリックしてパラメータ画面の「色の設定」タブから変更できます。

数値の目安

ADXの値 一般的な解釈
20〜25未満 方向感が弱い。レンジとして扱われることが多い
25以上 トレンドが出ているとされる水準
40以上 強いトレンドとされる水準

これらは一般にそう言われている目安であり、決まった基準値ではありません。銘柄と時間足によって出やすい水準が変わるため、自分が見る組み合わせでどのあたりが「普段の値」なのかを先に把握しておく方が実用的です。

ADXは銘柄をまたいで比較できる

ADXは0〜100の範囲に収まるよう計算されるため、ドル円のADXとゴールドのADXを並べて比較できます。

これはMACDとの大きな違いです。MACDは価格の差をそのまま表すため、価格水準が違う銘柄同士で数値を比べても意味がありません(MT5のMACDの使い方で触れています)。

複数の銘柄を並べて「今どれが一番動いているか」を見たい場合、ADXは扱いやすい指標です。

MQL5から値を取る場合

EAやインジケーターから使う場合は iADX です。

int handle = iADX(_Symbol, _Period, 14);

double adx[], plus[], minus[];
CopyBuffer(handle, 0, 0, 100, adx);    // 0 = MAIN_LINE(ADX)
CopyBuffer(handle, 1, 0, 100, plus);   // 1 = PLUSDI_LINE
CopyBuffer(handle, 2, 0, 100, minus);  // 2 = MINUSDI_LINE

引数は銘柄・時間足・期間の3つだけです。適用価格の指定はありません。バッファ番号は公式ドキュメントに「0 - MAIN_LINE、1 - PLUSDI_LINE、2 - MINUSDI_LINE」と明記されています(MQL5リファレンス iADX)。

バッファ1と2を取り違えると、判定が上下逆になります。値が取れているのに結果がおかしい時は、まずここを疑ってください。切り分け手順はMQL5でiCustom・CopyBufferの値が取れない原因にまとめています。

ADXの限界

  • 遅れる — 平均を重ねた指標なので、トレンドが始まってから値が上がる
  • 天井と底が分からない — 強さしか示さないため、どこで終わるかは判断できない
  • レンジでは意味を持たない — 20を下回っている間は、+DIと-DIのクロスも頻発する

ADXは「今エントリーすべきか」を教える指標ではなく、「今は方向についていく場面か、そうでないか」を切り分ける指標として使うと役割がはっきりします。

まとめ

  1. ADXは強さだけを示し、方向は示さない。方向は +DI と -DI で見る
  2. MT5では「Average Directional Movement Index」1つで3本が表示される
  3. 25以上でトレンドとされるが、決まった基準値ではない
  4. ADXは0〜100に収まるため、銘柄をまたいだ比較ができる
  5. MQL5では iADX。バッファは 0=ADX、1=+DI、2=-DI

本記事は指標の計算方法と操作手順を説明したものであり、特定の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。テクニカル指標は相場の状態を可視化する道具であり、将来の値動きや取引の成果を保証するものではありません。