MT5のエリオット波動ツールの使い方|原則は検証されない

MT5には波動のカウントを書き込むための描画ツールが標準で入っています。メニューの「挿入」→「オブジェクト」→「エリオット波動」から選びます。

用意されているのは「エリオット推進波」(5点)と「エリオット修正波」(3点)の2つです。

先に限界を書いておきます。このツールは点を結んで番号を振るだけで、エリオット波動の原則を満たしているかは一切チェックしません。原則に反する形でも、そのまま描けてしまいます。

(確認環境:MetaTrader 5 / Windows 11)

2つのツール

名称 点の数 付く番号
エリオット推進波 5点 1・2・3・4・5
エリオット修正波 3点 A・B・C

推進波は流れが進む側、修正波はその後の戻し側を数えるために使います。

描く手順

  1. メニューの「挿入」→「オブジェクト」→「エリオット波動」から使う方を選ぶ
  2. チャート上で、各波の終点を順にクリックする
  3. 位置を直す時は、点を選んでドラッグする

描いた後に時間足を変えても、オブジェクトはそのチャートに残ります。ただし他のチャートには出ません。同じ番号付けを別の時間足で見たい場合は、それぞれに描くことになります。

🔴 ツールは原則を検証しない

これが最も重要な点です。

エリオット波動には、一般に次の原則があるとされています。

  1. 第2波は第1波の始点を割らない
  2. 第3波は、第1波・第3波・第5波の中で最も短くならない
  3. 第4波は第1波の値幅に重ならない

MT5の描画ツールは、この3つのどれも判定しません。第2波が始点を割った形でも、第3波が最も短い形でも、クリックした位置にそのまま番号が振られます。

つまり「MT5で綺麗に描けた」ことは、その数え方が正しい根拠になりません。描けたかどうかと、原則を満たしているかどうかは無関係です。

描いた後に自分で確認する

ツールが見てくれない以上、上の3点は自分で確認するしかありません。特に2番目は見落とされやすい項目です。第3波が最も短い形になっていたら、その数え方は成立していません。

数え方がズレる原因

手で描く以上、同じチャートでも人によって番号の付き方が変わります。原因ははっきりしています。

  • どの高値・安値を波の終点とみなすかの基準が決まっていない
  • 時間足を変えると、拾う高値・安値が変わる

1つ目は、起点の取り方を毎回同じルールにすれば減らせます。考え方はフィボナッチリトレースメントの起点|毎回同じに引くルールにまとめています。

2つ目は時間足の問題です。どの時間足で数えるかを先に決めておかないと、判断が後から動きます。この点は時間足を変えると判断がブレる理由で扱っています。

推進波のカウント自体がズレる場面の整理は三段上げの数え方|推進波のカウントがズレる原因と対策にまとめました。

高値・安値の拾い方を機械的にする

終点の取り方を一定にしたい場合、ZigZagで高値・安値を機械的に拾ってから、その点の上で数えるという進め方があります。

ZigZagは設定した条件で極値を選ぶだけなので、少なくとも「どの山を拾うか」の部分は毎回同じになります。設定値の意味はMT5のZigZag設定の意味にまとめています。

ただしZigZagにも固有の癖があります。直近の山・谷は後から書き換わります。リアルタイムで数えている時、いま見えている最後の点は確定していません。この点はMT5のZigZagをCSVに出力する方法で詳しく扱っています。

まとめ

  1. 「挿入」→「オブジェクト」→「エリオット波動」に推進波(5点)と修正波(3点)がある
  2. 各波の終点を順にクリックして描く。位置はドラッグで直せる
  3. 🔴 ツールは原則を検証しない。描けたことは正しさの根拠にならない
  4. 第2波・第3波・第4波の条件は自分で確認する
  5. ズレを減らすには起点の取り方と時間足を先に固定する

本記事は操作手順と一般的な理論の説明であり、特定の売買を推奨するものではありません。チャート分析の手法は将来の値動きや取引の成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。