押し目は何%戻るのか|ZigZagのCSVで実測する
「押し目は61.8%で止まりやすい」という話をよく見かけます。では実際に測るとどうなるか。ZigZagの山と谷をCSVに出して、実データで計算してみました。
結論から書くと、何も考えずに割ると、半分が100%を超えます。押し目の深さを測るには、その前に決めなければいけないことがあります。
(使用データ:USDJPY/M5・M15・H1・H4/各時間足20点/2026年8月18日に出力)
測り方
- ZigZagの山(Peak)と谷(Bottom)を、時間の古い順に並べる
- 隣り合う点の値幅を「1つの波」とする
- 今の波 ÷ 1つ前の波 で比率を出す
例えば100pips上げた後に62pips下げたら、比率は62%です。4つの時間足で合計72個の比率が取れました。
🔴 単純に割ると、半分が100%を超える
| 比率 | 件数 |
|---|---|
| 38.2%未満 | 9 |
| 38.2〜50% | 2 |
| 50〜61.8% | 6 |
| 61.8〜78.6% | 9 |
| 78.6〜100% | 11 |
| 100%以上 | 35 |
| 合計 | 72 |
72件中35件が100%以上でした。「押し目が元の波より深く戻った」ことになり、押し目とは呼べません。
なぜこうなるのか
ZigZagは上げと下げを交互に並べるだけで、どちらが本来の流れでどちらが押し目かを区別しません。
比率が100%を超えるのは、今の波の方が大きかったということです。これは押し目ではなく、流れが入れ替わったか、1つ前の波の方が押し目だったことを意味します。
つまり「推進の波」と「修正の波」を先に決めないと、押し目の深さは測れません。全部を同じように割ると、押し目と転換が混ざった数字になります。
100%未満の波だけで見ると
「直前の波を超えなかった波」を修正の波とみなして、37件だけで見直すと次のとおりです。
| 比率 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 38.2%未満 | 9 | 24% |
| 38.2〜50% | 2 | 5% |
| 50〜61.8% | 6 | 16% |
| 61.8〜78.6% | 9 | 24% |
| 78.6〜100% | 11 | 30% |
このデータでは、いちばん多かったのは78.6〜100%の深い戻りで、61.8%付近で止まった波が特に多いわけではありませんでした。
🔴 この数字から言えないこと
1つの銘柄、1回の出力、37件だけのデータです。「押し目は深い」という結論は出せません。時間足・期間・ZigZagの設定を変えれば、分布はいくらでも変わります。
この記事で示したいのは数字そのものではなく、自分の銘柄と時間足で測れば、言われている比率が自分の相場で成り立つかを確かめられるということです。
自分で測るときの注意
- 推進と修正を決める — 例:100%未満だけを修正とみなす、上位足の方向に沿った波だけを推進とする
- 未確定の点を入れない — ZigZagの直近の点は後から動きます。入れると数字が変わります
- 件数を増やす — 20点では時間足ごとに19個の波しか取れません
- ZigZagの設定を固定する — 設定で拾う山と谷が変わります(MT5のZigZag設定の意味)
比率そのものの意味や使い分けは、連載のフィボナッチ比率とは(第3回)と比率の使い分け(第4回)で扱っています。
データの取り出し方
ZigZagの山と谷を時間足ごとに書き写すのは、手作業では現実的ではありません。この記事のデータは、当サイトが開発・販売している ZigzagColor_csv(¥3,400)で出力しました。チャート上のボタン1つで、複数の時間足の山(Peak)と谷(Bottom)をCSVに書き出すMT5用インジケーターです。直近の未確定の点は、初期設定で出力から外れます。売買の機能はありません。
Excelでの集計は波の大きさを時間足ごとに集計する方法、Pythonでの集計はZigZagのCSVをPythonで集計する方法にまとめています。
まとめ
- ZigZagの波を単純に割ると、72件中35件が100%超だった
- ZigZagは流れと押し目を区別しない。推進と修正を先に決めないと押し目の深さにならない
- 100%未満の37件では、78.6〜100%の深い戻りが最多だった
- 🔴 1銘柄・1回の出力なので結論は出せない。測り方の例として使う
- 自分の銘柄と時間足で測れば、言われている比率が自分の相場で成り立つかを確かめられる
本記事は過去データの集計方法を説明したものであり、将来の値動きや取引の成果を示すものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。FXは元本を上回る損失が生じる可能性があります。


