新しいWindows 11にできない時|TPM 2.0の状態を確かめる方法と実例
EA用のPCを長く使っていると、Windows 11の新しい版(24H2・25H2など)への更新が来ないまま、今の版のサポートが終わってしまうことがあります。原因の一つが、Windows 11の要件のTPM 2.0です。PCに機能があっても、BIOSの設定で無効になっていると、要件を満たさないと判定されます。この記事では、Microsoftの資料をもとに確かめ方を整理し、筆者のPCで実際に「TPMが理由で新しい版に上げられない」と分かった例を紹介します。新しいPCを買う前にも、先に確かめておきたい点です。
(確認:Microsoft「Windows 11 の仕様」、Microsoft サポート「PC で TPM 2.0 を有効にする」。筆者のPC(Windows 11 Pro・自作のPC)で、2026年10月21日に読み取りだけを行い、BIOSの設定は変えていません)
Windows 11の要件のうち、つまずきやすいもの
Microsoftの「Windows 11 の仕様」には、64ビットの1GHz以上・2コア以上のプロセッサ、UEFI・セキュア ブート対応、トラステッド プラットフォーム モジュール(TPM)バージョン2.0などが挙がっています。「PC で TPM 2.0 を有効にする」のページには、過去5年間に出荷されたほとんどのPCはTPM 2.0を実行できるが、TPM 2.0を実行できるPCでも、そのように設定されていない場合がある、と書かれています。
コード:管理者でなくても読める範囲で確かめる(PowerShell)
# Windows 11 の新しい版へ上げられるかの手がかりを、管理者でなくても読める範囲で集める(読み取りのみ)
$cv = Get-ItemProperty 'HKLM:\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion'
"今の版: $($cv.DisplayVersion)(ビルド $($cv.CurrentBuild).$($cv.UBR))"
"CPU : $((Get-CimInstance Win32_Processor | Select-Object -First 1).Name.Trim())"
"--- TPMのデバイス(デバイス マネージャーのセキュリティ デバイス) ---"
Get-PnpDevice -Class SecurityDevices -ErrorAction SilentlyContinue | ForEach-Object { "$($_.FriendlyName) / 状態: $($_.Status)" }
"--- tpmtool ---"
tpmtool getdeviceinformation 2>&1 | Select-Object -First 3
"--- 新しい版ごとのアップグレードの判定(Windowsが記録している値) ---"
$base = 'HKLM:\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\AppCompatFlags\TargetVersionUpgradeExperienceIndicators'
Get-ChildItem $base -ErrorAction SilentlyContinue | Where-Object { $_.PSChildName -like 'GE*' } | ForEach-Object {
$p = Get-ItemProperty $_.PSPath
"{0}: 判定={1} 理由={2}" -f $_.PSChildName, $p.UpgEx, ($p.RedReason -join ',')
}
最後の「アップグレードの判定」は、Windowsがレジストリに記録している値で、Microsoftの公式の説明は見つけられませんでした。筆者のPCで、新しい版ごとに「Red」と理由が記録されていたため、手がかりとして載せています。
筆者のPCの結果
今の版: 23H2(ビルド 22631.6199)
CPU : 11th Gen Intel(R) Core(TM) i5-11400 @ 2.60GHz
--- TPMのデバイス(デバイス マネージャーのセキュリティ デバイス) ---
Trusted Platform Module 2.0 / 状態: Unknown
--- tpmtool ---
Failed to get information.
Command failed with 0x800710df - The device is not ready for use.
--- 新しい版ごとのアップグレードの判定(Windowsが記録している値) ---
GE24H2: 判定=Red 理由=Tpm
GE25H2: 判定=Red 理由=Tpm
GE26H2: 判定=Red 理由=Tpm
- 今の版は23H2で、Home・Proのサポートは2025年11月に終わっている(更新プログラムの適用状況を確かめる方法で確認)
- デバイスの一覧に「Trusted Platform Module 2.0」はあるが、状態は「Unknown」
tpmtoolは「The device is not ready for use」(デバイスの準備ができていない)で、情報を取れなかった- 24H2・25H2・26H2への判定は、いずれも「Red」で、理由は「Tpm」
つまり、筆者のPCはTPMが使えない状態のため、新しい版に上げられないと判定されている、と読めます。CPU(Intelの第11世代)とデバイスの一覧からは、TPM 2.0の機能はあるが、BIOSで無効になっている可能性が高いと考えています(未確認)。
Microsoftの案内での確かめ方と、有効にする場所
- Windows セキュリティの「デバイスのセキュリティ」に「セキュリティ プロセッサ」の欄があるかを見る。欄が無ければ、TPMが無効の可能性がある。欄があれば、詳細で仕様のバージョンが2.0かを確かめる
- 「ファイル名を指定して実行」で
tpm.mscを開く。「互換性のある TPM が見つかりません」と出たら、TPMが無効の可能性がある - 有効にする設定は、UEFI BIOS(PCのファームウェア)で管理され、機種によって違う。項目の名前は、[Security Device][Security Device Support][TPM State][AMD fTPM switch][AMD PSP fTPM][Intel PTT][Intel Platform Trust Technology]などで、[Advanced][Security][Trusted Computing]のメニューの中にあることがある
- 分からない時は、PCやマザーボードのメーカーのサポート情報を確かめる
EA用PCで行う時の注意(筆者の考え)
- BIOSの設定を変えるには再起動が要る。週末など、取引の無い時間に行う
- BIOSの設定を変える前に、今の設定を写真で残しておく
- 新しい版への更新の前に、MT5のデータフォルダをバックアップする(robocopyでMT5のフォルダをバックアップして照合する方法)
買い替えを考える前に
新しい版に上げられない理由がTPMの設定だけなら、BIOSで有効にすれば、今のPCのまま更新できる可能性があります。CPUが要件の対象外など、設定では直らない理由の場合に、買い替えを考えます。BTOで新しいPCを選ぶ時の考え方は、MT5を自宅で動かすPCの選び方にまとめています。
この記事で確かめていないこと
- 筆者のPCで、BIOSでTPMを有効にした後に、新しい版へ上げられるか(BIOSを変えていません)
- アップグレードの判定のレジストリの値の、Microsoftの公式の意味
- TPMが無効になった理由(初めからか、BIOSの初期化などか)
まとめ
- Windows 11はTPM 2.0が要件。機能があっても、BIOSで無効だと要件を満たさない(Microsoft)
- 管理者でなくても、デバイスの状態・tpmtool・アップグレードの判定から手がかりを読める。筆者のPCは、24H2以降への判定が「Tpm」で不可だった
- TPMの設定だけが理由なら、BIOSで有効にして今のPCのまま更新できる可能性がある。買い替えはその後に考える
本記事は、Microsoftの資料と、筆者のPCでの読み取りの結果にもとづく説明です。BIOSの設定の変更は、メーカーの案内を確かめて、自分の判断で行ってください。


