フリーランス法の支払期日|60日以内の決まりと、月末締めの支払条件を日付で確かめる
フリーランスとして仕事を受けると、「月末締め翌々月末払い」のように、納めてから入金まで2か月以上かかる支払条件を示されることがあります。フリーランス・事業者間取引適正化等法(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の第4条は、発注する事業者に、給付を受け取った日から起算して60日以内(かつ、できる限り短い期間内)に支払期日を定めることを求めています。この記事では、法律の原文と公正取引委員会のQ&Aを整理し、よくある支払条件が期限に収まるかを日付で確かめます。
(確認:e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号)第2条・第4条、公正取引委員会「Q&A」(Q48・Q49)。確認日:2026年10月30日。個別の取引が対象になるか、違反になるかの判断は、公正取引委員会などの窓口で確かめてください)
対象になる取引(第2条)
- 仕事を受ける側(特定受託事業者):従業員を使わない個人、または、代表者のほかに役員がなく従業員を使わない法人
- 支払期日の決まりを守る側(特定業務委託事業者):従業員を使う個人、または、役員が2人以上いるか従業員を使う法人
- 業務委託:事業のために、物品の製造、情報成果物(プログラム・映像・文章やデザインなど)の作成、役務の提供を委託すること
EAやWordPressの制作、記事の執筆を受ける副業の人は、受ける側に当たることが多いと考えられます。発注する側が従業員のいない個人の場合は、第4条の対象ではありません(筆者の読み方)。
支払期日の決まり(第4条)
| 項 | 内容(要約) |
|---|---|
| 第1項 | 検査をするかを問わず、給付を受領した日から起算して60日の期間内で、かつ、できる限り短い期間内に支払期日を定める |
| 第2項 | 支払期日を定めなかった時は受領した日が、60日を超えて定めた時は受領した日から起算して60日を経過する日が、支払期日とみなされる |
| 第3項 | 一定の再委託の場合は、元の委託の支払期日から起算して30日の期間内 |
| 第5項 | 定めた支払期日までに報酬を支払う |
公正取引委員会のQ&Aの運用
- Q48(月単位の締切制度):「毎月末日納品締切、翌月末日支払」のような締切制度では、31日の月があるため、受領した日から61日目・62日目の支払になる場合がある。その場合は「60日以内」を「2か月以内」として運用し、問題としない
- Q49:これまで納品後すぐに払っていた相手が、「60日以内」と決まっていることだけを理由に、支払期日を遅らせることは、「できる限り短い期間内」に定めたとはいえず、問題になる
コード:よくある支払条件が期限に収まるか
受領した日を1日目として日数を数え、Q48の「2か月以内」の運用を、受領した日の2か月後の同じ日の前日までと置いて判定します(運用を日付に当てはめたのは筆者です)。
# フリーランス・事業者間取引適正化等法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)第4条の支払期日を、日付で確かめる
# 第4条第1項:給付を受領した日から起算して60日の期間内(かつ、できる限り短い期間内)に支払期日を定める
# 公正取引委員会 Q&A(Q48):月単位の締切制度で31日の月があり61日目・62日目になる場合は、
# 「60日以内」を「2か月以内」として運用し、問題としない
# このコードでは「受領日の2か月後の同じ日の前日まで」を2か月以内とした(Q48の運用を筆者が日付に当てはめたもの)
import datetime as dt
import calendar
D = dt.timedelta
def month_end(y, m):
y, m = y + (m - 1) // 12, (m - 1) % 12 + 1
return dt.date(y, m, calendar.monthrange(y, m)[1])
def add_months(d, n):
y, m = d.year + (d.month - 1 + n) // 12, (d.month - 1 + n) % 12 + 1
return dt.date(y, m, min(d.day, calendar.monthrange(y, m)[1]))
def terms(received, kind):
# よくある支払条件から支払日を出す(月末締め)
if kind == '月末締め翌月末払い':
return month_end(received.year, received.month + 1)
if kind == '月末締め翌々月15日払い':
nxt = add_months(dt.date(received.year, received.month, 1), 2)
return nxt.replace(day=15)
if kind == '月末締め翌々月末払い':
return month_end(received.year, received.month + 2)
raise ValueError(kind)
for received in (dt.date(2026, 11, 1), dt.date(2026, 11, 30)):
two = add_months(received, 2) - D(days=1)
print(f'給付を受領した日: {received} 60日目: {received + D(days=59)} 2か月以内の目安: {two}まで')
for kind in ('月末締め翌月末払い', '月末締め翌々月15日払い', '月末締め翌々月末払い'):
pay = terms(received, kind)
days = (pay - received).days + 1 # 受領日を1日目として数える
print(f' {kind:<14} 支払日 {pay}({days:>3}日目) {"2か月以内" if pay <= two else "2か月を超える"}')
print()
計算の結果(Python 3)
給付を受領した日: 2026-11-01 60日目: 2026-12-30 2か月以内の目安: 2026-12-31まで
月末締め翌月末払い 支払日 2026-12-31( 61日目) 2か月以内
月末締め翌々月15日払い 支払日 2027-01-15( 76日目) 2か月を超える
月末締め翌々月末払い 支払日 2027-01-31( 92日目) 2か月を超える
給付を受領した日: 2026-11-30 60日目: 2027-01-28 2か月以内の目安: 2027-01-29まで
月末締め翌月末払い 支払日 2026-12-31( 32日目) 2か月以内
月末締め翌々月15日払い 支払日 2027-01-15( 47日目) 2か月以内
月末締め翌々月末払い 支払日 2027-01-31( 63日目) 2か月を超える
- 「月末締め翌月末払い」は、月の初めに納めても2か月以内に収まる(11月1日に納めると61日目だが、Q48の運用で問題としない)
- 「月末締め翌々月15日払い」は、月の初めに納めると2か月を超える。月の終わりに納めた分は収まる
- 「月末締め翌々月末払い」は、月のどの日に納めても2か月を超える計算になる
支払条件を示された時に(筆者の考え)
- まず相手が対象かを確かめる:従業員のいる事業者か。個人の発注者で従業員がいない場合は、第4条の対象外
- 納める日と支払日を書き出す:上のコードの日付を、自分の取引に置き換えて確かめる
- 相談の窓口を使う:判断に迷う時や、条件を変えてもらいたい時は、公正取引委員会のサイトで相談の窓口を確かめる
- 入金を待つ間の資金:入金待ちの日数を自分の取引で数える方法は入金待ちの日数を自分の取引で数えるに、請求書の先払いを使う時の受け取る額はペイトナーの申し込みの前にそろえるものにあります
この記事で確かめていないこと
- 法律の施行日(附則では、政令で定める日から施行とされている。この記事では政令を確かめていない)
- 支払日が金融機関の休業日に当たる場合の扱い
- 「給付を受領した日」が、検収の日か、納品の日かの、個別の取引での判断
まとめ
- フリーランス・事業者間取引適正化等法の第4条は、従業員のいる発注者に、受領した日から起算して60日以内(できる限り短く)の支払期日を求めている
- 公正取引委員会のQ&A(Q48)は、月単位の締切制度では「2か月以内」として運用するとしている。「月末締め翌月末払い」は収まり、「翌々月末払い」は超える計算になる
- これまでの支払を、法律の60日を理由に遅らせることも問題になる(Q49)。迷う時は公正取引委員会などの窓口へ
本記事は法律の原文と公正取引委員会のQ&Aにもとづく整理で、法的な助言ではありません。請求書の先払いの仕組みはペイトナーの請求書先払いにまとめています。


