公衆Wi-Fiのリスクと確認項目|総務省の簡易マニュアル(令和7年2月版)を6つのチェックにまとめた

公衆Wi-Fiで気をつける点は、総務省の「公衆Wi-Fi利用者向け 簡易マニュアル」(令和7年2月版)に整理されています。要点は、①接続先のSSIDを確認する、②セキュリティ方式を確認する、③HTTPSかどうかとURLを確認する、④パソコンの共有設定を切る、⑤ブラウザ以外の通信に注意する、⑥パスワードを使い回さず二要素認証を使うの6つです。

この記事では、このマニュアルと、総務省の注意喚起、IPAの資料をもとに、外出先でMT5やVPSに入る前に確認したい項目を、チェックリストにまとめます。(確認日:2026年10月19日)

1. 何が起きるのか(総務省の脅威シナリオ)

マニュアルには、旅行中のAさんの例があります。旅先で、それまで利用したことのないSSIDの公衆Wi-Fiに、暗号化キー不要で接続し、SNSのIDとパスワードを入力しました。入力画面のURLは確認しませんでした。数日後、自分の名前で身に覚えのない投稿が見つかり、IDとパスワードが盗用されていたことが分かります。原因は、悪意をもって設置された偽の公衆Wi-Fiに接続してしまったことと説明されています。

対策として挙げられているのは、「接続する公衆Wi-Fiをよく確認する」ことと、「インターネットを利用する場合、正しいURLでHTTPS通信をしているか確認する」ことです。

2. 6つのチェック

① 接続先のSSIDを確認する

  • 提供者が案内しているSSIDと同じか確認する(近くのステッカーなどで、誰が提供しているサービスかを確かめる)
  • 暗号化キーなしで接続できても、提供者が不明のものや不審なものには接続しない
  • いつも使っているSSIDでも、偽の公衆Wi-Fiが設置されていることがある
  • スマホの自動接続は、自宅や職場など日常的に使うSSID以外は無効にする

② セキュリティ方式を確認する

表示 マニュアルの説明
WPA3 最新の方式。新しい暗号鍵の交換ロジックなどでセキュリティが強化されている
WPA2 現在主流の方式。ファームウェアを最新にすれば安全に利用できる、と書かれている。「TKIP」と「AES」を選べる場合は「AES」
WPA 一部に脆弱性があり、現在は推奨されない
WEP 暗号を短時間で解読する方法が知られていて、現在は容易に解読される
セキュリティ(暗号化)なし 通信が暗号化されず、誰でも接続できる

「セキュリティなし」や「WEP」と表示される場合は、個人情報やログイン情報の入力など、周囲に見られてはいけない使い方は避け、見られても構わない通信に限って使う、とされています。

WPA2でも安心できない場合があります。マニュアルのコラムによると、WPA2パーソナル(WPA2-PSK)は、接続する人全員が同じ暗号化キーを共有します。不特定多数が使う公衆Wi-Fiでは全員がキーを知っているため、通信内容が条件次第で比較的容易に解読されることがあり、同じSSIDと暗号化キーで偽の公衆Wi-Fiを設置することもできます。そのため、暗号化されていない場合と同様に留意して使う、とされています。

③ HTTPSとURLを確認する

  • URLが「https://」で始まり、ブラウザに鍵のアイコンが表示されているかを確認する
  • 「http://」で始まる、または「!」アイコンや「保護されていない通信」「安全ではありません」と表示される場合は、通信が適切に暗号化されていない。パスワードや個人情報を入力しない
  • HTTPSでも、本物のURLに似せた偽のURLの場合がある。スマホでは初期設定でURL全体が表示されないことがあるため、URL全体を確認する

Wi-Fiの暗号化が守るのは、端末からWi-Fiルーターまでの無線区間だけです。HTTPS通信は、ブラウザからWebサーバーまでの区間を暗号化します。マニュアルは「Wi-Fiは電波を利用している以上、周囲の第三者が容易に受信できる状況となるためリスクが高く、HTTPS通信は必須と考えましょう」と書いています。

④ パソコンの共有設定を切る

公衆Wi-Fiでは、同じWi-Fiにつながった端末同士が通信できる場合があります。マニュアルは、パソコンを公衆Wi-Fiに接続して使う場合は、共有フォルダの無効化や認証機能の有効化などの対策を行うよう案内しています。総務省の別のページには、公共の場でファイル共有機能が有効だと、パソコンやスマホ内のファイルを読み取られたり、不正なファイルを送り込まれたりすることがある、と書かれています。

⑤ ブラウザ以外の通信に注意する

  • メールソフトやFTPを使う場合は、暗号化の設定(SMTPならSMTPsなど)に変える。分からない場合は、外出先ではWebメールをブラウザで使うなど、ブラウザだけに限る方法もある
  • スマホのブラウザ以外のアプリは、HTTPS通信かどうかを利用者が判断するのは難しい。大半のアプリはHTTPS通信を行っている、と書かれているが、心配な場合はブラウザだけに限る

MT5については、ヘルプに、プラットフォームとサーバー間のデータ交換は128ビットのキーに基づいて暗号化される、と書かれています(公衆Wi-FiからMT5・VPSに入る時の守り方)。

⑥ パスワードを使い回さない・二要素認証を使う

マニュアルは、ID・パスワードの使い回しをすると、だまし取られた時に被害が拡大する、と注意しています。二要素認証が使える場合は積極的に使うよう案内しています。

3. 災害時の「00000JAPAN」

総務省の注意喚起(令和2年7月9日)によると、災害時に開放される「00000JAPAN」は、認証なしに接続できる一方、通信の暗号化などのセキュリティ対策が講じられていません。情報入手などの利用にとどめ、やむを得ず個人情報を入力する場合は、正しいURLでHTTPS通信をしているか確認するか、VPNを利用するなどの対策を勧めています。

4. 外出先に出る前のチェックリスト

確認 やること
□ スマホの自動接続 日常的に使うSSID以外は自動接続を無効にする
□ PCの共有設定 共有フォルダを無効にする。(Windowsの設定画面の項目名は版で違うため、本記事では手順を扱わない)
□ パスワード MT5・VPS・口座の管理画面・メールで使い回していないか
□ 二要素認証 使えるサービスはオンにする
□ 代わりの通信 公衆Wi-Fiを避けて、自分のスマホのテザリングを使う手もある(一般的な代替手段)
□ VPN 使う場合は、遅延を先に測っておく(pingの遅延を測る方法)

IPAの資料(2015年度の調査に触れる古めの資料。作成年は未確認)は、公衆無線LANを安全に使うポイントとして、「VPN通信を利用する」と「第三者に知られては困る情報は入力および表示をしない」の2点を挙げています。総務省の簡易マニュアル(令和7年2月版)の本文には、VPNを使う記述は見つかりませんでした。両者の違いを踏まえて、使い方に合わせて選んでください。

まとめ

  • 偽の公衆Wi-Fiに接続して、ID・パスワードが盗まれる例が、総務省のマニュアルに載っている
  • 接続前にSSIDとセキュリティ方式を確認する。WPA2-PSKでも、不特定多数が使う場所では暗号化なしと同様に留意する
  • 入力する前に「https://」と鍵のアイコン、URL全体を確認する。Wi-Fiの暗号化が守るのは無線区間だけ
  • パソコンの共有を切り、パスワードを使い回さず、二要素認証を使う
  • 災害時の00000JAPANは暗号化されていない。情報入手にとどめる