特定商取引法の通信販売の表示事項一覧|省略できる項目とできない項目(消費者庁)
特定商取引法の通信販売では、広告に販売価格(送料を含む)、代金の支払時期と方法、商品の引渡時期、申込みの期間、返品を含む申込みの撤回・解除、事業者の氏名・住所・電話番号などを表示します。EAやツールなどのソフトウェアの取引では、動作環境の表示も必要です。消費者庁の特定商取引法ガイドには、表示する事項と、消費者の請求で提供することを表示した場合に省略できる項目、できない項目の表があります。
この記事では、消費者庁の「通信販売」のガイドと「通信販売広告Q&A」(確認日:2026年10月19日)の記載を、表にまとめます。法律の適用は、取引の内容で変わります。個別の判断は、消費者庁や専門家に確認してください。
1. 広告に表示する事項
消費者庁のガイドは、通信販売の広告に表示する事項を、次のように定めていると説明しています。
| 表示事項 | 書く内容の要点 |
|---|---|
| 販売価格(役務の対価) | 送料についても表示が必要。送料を表示する時は、「送料実費」ではなく、金額で表示する |
| 代金の支払時期・方法 | 支払方法(銀行振込・クレジットカード・代金引換など)は、全て表示する。一部しか書かない表示は認められない |
| 商品の引渡時期 | 期間または期限を表示する。特に前払式の場合は、申し込んでいつ引き渡されるか分からないと、購入者の立場が不安定になる |
| 申込みの期間 | 期間に関する定めがあるときは、その旨と内容 |
| 契約の申込みの撤回・解除 | 返品特約がある場合は、その内容(返品の可否、期間などの条件、返品の送料負担の有無)を含む |
| 事業者の氏名(名称)・住所・電話番号 | 個人事業者は、戸籍上の氏名または商業登記簿に記載された商号。法人は登記簿上の名称 |
| 代表者または責任者の氏名 | 法人が、ウェブサイトや電子メールなどで広告する場合 |
| そのほかの負担 | 販売価格・送料以外に購入者が負担する金銭(工事費、組立費、設置費、梱包料、代金引換手数料など)があれば、その内容と額 |
| 契約不適合の場合の責任 | 種類・品質が契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任について定めがあるときは、その内容 |
| ソフトウェアの動作環境 | いわゆるソフトウェアに関する取引の場合、OSの種類、CPUの種類、メモリの容量、ハードディスクの空き容量等 |
| 契約を2回以上継続して締結する必要があるとき | その旨と、販売条件・提供条件 |
| 販売数量の制限など特別な条件 | あるときは、その内容 |
| カタログ等を請求で別途送る場合 | 有料なら、その金額 |
| 電子メールによる商業広告を送る場合 | 事業者の電子メールアドレス |
2. 省略できる項目と、できない項目
ガイドには、広告スペースの都合などで、すべてを表示するのは実態に合わない面があるため、消費者からの請求によって、これらの事項を記載した書面(インターネット通信販売では電子メールでもよい)を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、実際に請求があった場合に遅滞なく提供できる措置を講じている場合には、一部の事項の表示を省略できる、と書かれています。
| 項目 | 省略の可否(消費者庁の表) |
|---|---|
| 事業者の氏名(名称)・住所・電話番号 | 省略できる |
| 法人の代表者名または責任者名 | 省略できる |
| 契約不適合の場合の責任(責任を負う旨の定め) | 省略できる |
| 契約不適合の場合に責任を負わない旨の定め | 価格等を全部表示した場合は、省略できない(全部表示しない場合は、省略できる) |
| 返品に関する事項(返品の可否・期間等の条件・返品の送料負担の有無) | 省略できない |
| 申込みの期間に関する定め | 省略できない |
| ソフトウェアの動作環境 | 省略できない |
| 契約を2回以上継続して締結する場合の条件 | 省略できない |
| 販売数量の制限など特別な条件 | 省略できない |
| 有料の書面・電磁的記録の価格 | 省略できない |
| 電子メールで広告する場合のメールアドレス | 省略できない |
表には、代金の支払時期(前払いか後払いか)や、商品の引渡時期(遅滞なく行う場合か、それ以外か)による違いもあります。詳しくは、消費者庁のガイドの表を直接確認してください。
「遅滞なく」とは、販売方法などの取引実態に即して、申込みの意思決定に先立って、十分な時間的余裕をもって提供されることをいう、と書かれています。申込みの直前に請求されても、間に合わないような運用では、この要件を満たさないおそれがあります。
3. 氏名・住所・電話番号の「正確さ」
- 氏名:通称、屋号、サイト名のみの表示は認められない
- 住所:現に活動している住所を、正確に表示する。番地を一部省略する表示は認められない。現に活動していない私書箱等の住所のみの表示も認められない
- 電話番号:確実に連絡が取れる番号を表示する。使われていない電話番号を表示する場合のほか、載せている番号があっても、事業者が意図的に、常に電話を取らない状態にしている場合などは、確実に連絡が取れる番号を表示していることにならない、と書かれています。また、表示した電話番号にかけても一切つながらない場合や、折り返しの連絡を依頼しても一向に連絡がない場合は、「契約の申込みの撤回又は解除に関する事項」の表示義務に違反するおそれがある、とされています
- 表示の場所:消費者が容易に認識できる文字の大きさ・方法で、容易に認識できる場所に表示する。広告の冒頭部分から、表示箇所へ容易に到達できるようにする
住所・電話番号を表示しない条件と、バーチャルオフィスの扱いは住所・電話番号を表示しない条件と、バーチャルオフィス・私書箱・屋号の扱い、返品特約の書き方は通信販売の返品特約の書き方にまとめています。
4. EA・ツールの販売ページで書く項目の整理
| 項目 | EA・ツールの場合の例 |
|---|---|
| 販売価格 | 税込の金額。ほかにかかる費用(VPSの費用など)は、購入者が自分で別に用意する物か、販売価格に含まれないかを書く |
| 支払方法・時期 | 決済の種類を全て書く。前払いか |
| 引渡時期 | ダウンロード可能になる時期(決済後すぐ、など) |
| 動作環境 | MT5かMT4か、動作するOS、必要なメモリなど。使う口座の条件があれば、その内容 |
| 返品の扱い | 返品の可否、期間、送料の負担(ダウンロード販売での書き方は、返品特約の記事で) |
| 事業者の情報 | 氏名または商号、住所、電話番号。法人は、代表者名または責任者名も |
まとめ
- 通信販売の広告には、価格・支払・引渡し・申込期間・返品・事業者の氏名・住所・電話番号などを表示する。ソフトウェアの取引は、動作環境も表示する
- 請求で遅滞なく提供する旨を表示し、その措置を講じれば、氏名・住所・電話番号などは省略できる
- 返品に関する事項、申込期間、動作環境、継続契約の条件、数量制限、有料書面の価格、メールアドレスは、省略できない
- 氏名は屋号のみ不可。住所は現に活動している正確な住所で、私書箱のみは不可
本記事は消費者庁の公開資料(確認日:2026年10月19日)にもとづく一般的な情報であり、法律の助言ではありません。個別の判断は、消費者庁や専門家に確認してください。


