通信販売の返品特約の書き方|8日のルールと、「返品不可」の表示、表示場所
通信販売の返品は、広告に返品特約を表示していなければ、商品の引渡しを受けた日から8日以内は、消費者が送料を負担して返品できるのが法律のルール(特定商取引法第15条の3)です。返品特約を広告に表示していれば、特約が優先されます。返品を認める場合も、認めない場合も、返品の可否、期間などの条件、送料の負担を、広告に分かりやすく書きます。「返品については、その都度ご相談に応じます」だけでは、特約の表示になりません。
この記事では、消費者庁の特定商取引法ガイド、「通信販売広告Q&A」、「通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン」(確認日:2026年10月19日)をもとに、書き方の要点をまとめます。ダウンロード販売(EAやツール)の返品の扱いは、これらの資料では具体的に確認できませんでした。法律の適用は、取引の内容で変わります。個別の判断は、消費者庁や専門家に確認してください。
1. 返品についての法律のルール
- 通信販売では、消費者が契約を申し込んだり、締結したりした場合でも、商品の引渡しを受けた日から数えて8日以内であれば、契約の申込みの撤回や解除ができ、消費者の送料負担で返品できる(法第15条の3)
- ただし、事業者が広告で、この撤回や解除について特約を表示していた場合は、特約による
- 消費者庁の「通信販売広告Q&A」(Q12)は、通信販売には、訪問販売等において認められているクーリング・オフの規定はない、と答えています
つまり、何も書かないと、8日以内の返品を受けることになり、書けば、書いた内容が優先されます。ただし、書き方が不十分だと、特約として認められない場合があります(下記)。
2. 広告に書く内容(Q13・Q14)
| 場面 | 消費者庁の説明 |
|---|---|
| 返品特約を表示する内容 | 返品の可否、期間等の返品の条件、返品に係る送料負担の有無 |
| 返品を認めない場合 | 種類・品質が契約の内容に適合している商品について返品を認めないなら、その旨を広告に明示する。例:「商品に欠陥がある場合を除き、返品には応じません。」 |
| 「返品についてはその都度ご相談に応じます」 | 購入前に、あらかじめ返品の可否を告げることにならないので、返品特約を表示したことにならない |
返品特約がある場合に、内容を明確にする方法として、消費者庁は次の2つを挙げています。
- A:返品に応じる場合の例示(複数)と、応じない場合の例示(複数)を表示する
- B:「○○の場合以外は返品に応じます」のように、返品に応じない場合を除外例として示して、それ以外の場合には返品に応じることを表示する
欠陥・不具合の場合の責任は、別の話
返品特約は、商品が契約の内容に適合している状態での返品の話です。商品が種類・品質について契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任について、特約をする場合は、別に表示する必要があります(施行規則第8条第5号)。ガイドラインは、両者をはっきり区別して書くことを求めています。区別がつかない表示になった場合は、民事上、前者(契約に適合している状態での返品特約)だけを定めたものと解され、後者については、民法・商法の一般原則によると解される、と書かれています。
3. 表示のしかた(返品特約の表示についてのガイドライン)
- 見やすい箇所で、明瞭に判読できるように表示する(施行規則第9条・第16条の3)。極めて小さな文字や、消費者が認識しにくい箇所への表示は、認識しやすい表示とは考えられない
- 他の事項と区別する:申込方法や振込方法などに紛れて埋没しないようにする。例:商品の価格や、申込先の電話番号など、消費者が確認する事項の近くに表示する。「返品に関する事項」などの表題を掲げて区分する
- 返品特約の重要事項(返品の可否・条件・送料負担)は、他の事項よりも明瞭にする。例:価格に近接して表示する、価格等と同じ文字の大きさにする、色文字・太文字を使う、返金方法などの他の事項より大きな文字にする
- 共通ページの活用:インターネット通販などで、「ご利用ガイド」のような共通のページに、まとめて返品特約を書く方法も認められる場合がある。その場合は、各商品の説明箇所に「返品不可」「到着後○日以内に限り返品可」「送料はお客様負担」など、重要事項を示す文字やマークを表示し、詳細は共通ページへ誘導する。共通ページには「返品に関するお知らせ」などの表題を設け、重要事項は詳細よりも明瞭に書き、商品と返品特約の対応関係が分かるようにする
- インターネット通販では、最終確認画面でも返品特約を表示する(消費者庁のガイド。法第15条の3ただし書、施行規則第44条)
4. 書き方の型(筆者が要点から組んだもの)
次は、消費者庁の例を参考にした型です。法的な効力を保証する文例ではありません。実際の販売ページでは、自分の販売条件に合わせて、必要なら専門家に確認してください。
【返品について】
【返品不可の場合】商品に欠陥がある場合を除き、お客様都合の返品には応じません。
【返品可の場合】到着後( )日以内に限り、返品に応じます。
返品の可否:(不可/可・上のどちらかを残す) 返品できる期間:( ) 返品の送料:(お客様負担/当方負担)
商品が説明と異なる場合や、動作しない場合は、(連絡先)までご連絡ください。(対応の内容: )
- 上段で、返品を認めるかどうか(特約)を書く
- 下段で、欠陥や不具合の場合の対応は別として書く(特約をするなら、その内容を表示する必要がある)
- この文面を、価格の近く、共通ページ、最終確認画面の3か所に出す
5. EA・ツールのダウンロード販売で、確認が必要な点
- 消費者庁のガイドには、ソフトウェアに関する取引では、動作環境の表示が必要とあります(特定商取引法の通信販売の表示事項一覧)。購入前に、動作環境が分かることが、返品トラブルを減らす材料になります
- ダウンロード販売での返品の扱い(8日の規定の適用など)は、この記事で使った消費者庁の資料では確認できませんでした。消費者庁の特定商取引法ガイド・相談窓口で、最新の扱いを確認してください
- 返品を認めない(特約を表示する)場合は、「商品に欠陥がある場合を除き」のように、除外を明確にした書き方が、消費者庁の例にある型です
住所・電話番号の出し方は住所・電話番号を表示しない条件と、バーチャルオフィス・私書箱・屋号の扱い、販売ページ全体の考え方はEA・ツールを販売する時の特定商取引法の表記と住所にまとめています。
まとめ
- 広告に返品特約がなければ、引渡しの日から8日以内は、消費者の送料負担で返品できる。特約を表示すれば特約による
- 返品を認める場合も認めない場合も、返品の可否・条件・送料負担を書く。「その都度ご相談」は特約の表示にならない
- 欠陥・不具合の場合の責任の特約は、別に表示する。両者を区別して書く
- 見やすい場所に、他の事項と区別して表示する。インターネット通販は、最終確認画面にも表示する
- ダウンロード販売での返品の扱いは、消費者庁の資料の範囲では確認できなかった。消費者庁に確認する
本記事は消費者庁の公開資料(確認日:2026年10月19日)にもとづく一般的な情報であり、法律の助言ではありません。個別の判断は、消費者庁や専門家に確認してください。


