副業で所得税はいくら増えるか|給与所得控除と速算表で計算

会社員が副業の所得を確定申告すると、所得税は「給与の所得」と「副業の所得」を合わせて計算し直します。副業で増える税額は、副業の所得に一律の率をかけるのではなく、給与と合わせた課税される所得が、税率のどの段階に入るかで決まります。この記事では、国税庁のタックスアンサーの表(給与所得控除・所得税の速算表)をもとに、副業の所得で所得税がいくら増えるかをPythonで計算した例を紹介します。

(確認:国税庁 タックスアンサーNo.1410「給与所得控除」・No.2260「所得税の税率」[いずれも令和8年4月1日現在法令等]。確認日:2026年10月21日。計算は筆者が表を式にしたもので、税額の端数の処理など細部は省いています)

給与所得の出し方(令和8年分・令和9年分)

No.1410では、給与所得は、給与の収入金額から給与所得控除額を引いて出す、とされています。令和8年分・令和9年分の給与所得控除額は次のとおりです(令和8年12月1日に施行され、令和8年分と令和9年分に適用される金額、と注記されています)。

給与の収入金額 給与所得控除額
220万円まで 74万円
220万円超〜360万円 収入金額×30%+8万円
360万円超〜660万円 収入金額×20%+44万円
660万円超〜850万円 収入金額×10%+110万円
850万円超 195万円(上限)

所得税の速算表(No.2260)

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円〜1,949,000円 5% 0円
1,950,000円〜3,299,000円 10% 97,500円
3,300,000円〜6,949,000円 20% 427,500円
6,950,000円〜8,999,000円 23% 636,000円
9,000,000円〜17,999,000円 33% 1,536,000円
18,000,000円〜39,999,000円 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

課税される所得金額は、1,000円未満を切り捨てた後の金額です。令和29年分までは、所得税と一緒に復興特別所得税(原則として基準所得税額の2.1%)を申告・納付します。No.2260には、令和8年度の税制改正で、防衛特別所得税の創設などが行われ、令和9年以後に適用される、という注記もあります。

コード

# 給与と副業の所得を合わせた時に、所得税がいくら増えるかの目安(国税庁 No.1410・No.2260 にもとづく筆者の計算)
#   給与所得控除(令和8年分・令和9年分):No.1410 の表
#   所得税:課税される所得(1,000円未満切り捨て)に速算表の税率をかけて控除額を引く。復興特別所得税(2.1%)を加える
def salary_income(revenue):
    if revenue < 691_000:
        return 0
    if revenue < 2_200_000:                       # 表の(注2):69万1,000円以上220万円未満は「収入−74万円」(細かい区分は省略)
        return max(0, revenue - 740_000)   # 74万1,000円未満は0円
    if revenue <= 3_600_000:
        deduction = revenue * 0.30 + 80_000
    elif revenue <= 6_600_000:
        deduction = revenue * 0.20 + 440_000
    elif revenue <= 8_500_000:
        deduction = revenue * 0.10 + 1_100_000
    else:
        deduction = 1_950_000
    return int(revenue - deduction)

BRACKETS = [(1_949_000, 0.05, 0), (3_299_000, 0.10, 97_500), (6_949_000, 0.20, 427_500),
            (8_999_000, 0.23, 636_000), (17_999_000, 0.33, 1_536_000), (39_999_000, 0.40, 2_796_000), (float("inf"), 0.45, 4_796_000)]

def income_tax(taxable):
    taxable = taxable // 1000 * 1000
    for upper, rate, ded in BRACKETS:
        if taxable <= upper:
            return max(0, taxable * rate - ded) * 1.021     # 復興特別所得税を加える

print("給与所得の例(令和8年分)")
for rev in (3_000_000, 5_000_000, 7_000_000):
    print(f"  給与収入 {rev:,}円 → 給与所得 {salary_income(rev):,}円")

base_taxable = 2_300_000   # 例:給与だけの時の「課税される所得」(基礎控除・社会保険料控除などを引いた後)。自分の値は源泉徴収票などから
print(f"給与だけの課税される所得 {base_taxable:,}円 のとき、副業の所得を足すと")
for side in (100_000, 300_000, 1_200_000):
    up = income_tax(base_taxable + side) - income_tax(base_taxable)
    print(f"  副業の所得 {side:,}円 → 所得税(復興特別所得税を含む)の増加 約 {up:,.0f}円(副業の所得に対して {up / side:.1%})")

「課税される所得」は、所得の合計から、基礎控除・社会保険料控除などの所得控除を引いた後の金額です。基礎控除の額は年分と所得で変わるため、この例では、給与だけの時の課税される所得を、仮に230万円と置いています。自分の値は、源泉徴収票の数字などから確かめてください。

計算の結果(Python 3)

給与所得の例(令和8年分)
  給与収入 3,000,000円 → 給与所得 2,020,000円
  給与収入 5,000,000円 → 給与所得 3,560,000円
  給与収入 7,000,000円 → 給与所得 5,200,000円
給与だけの課税される所得 2,300,000円 のとき、副業の所得を足すと
  副業の所得 100,000円 → 所得税(復興特別所得税を含む)の増加 約 10,210円(副業の所得に対して 10.2%)
  副業の所得 300,000円 → 所得税(復興特別所得税を含む)の増加 約 30,630円(副業の所得に対して 10.2%)
  副業の所得 1,200,000円 → 所得税(復興特別所得税を含む)の増加 約 142,940円(副業の所得に対して 11.9%)
  • 給与収入500万円なら、給与所得控除は500万円×20%+44万円=144万円で、給与所得は356万円
  • 給与だけの課税される所得が230万円(税率10%の段階)なら、副業の所得10万円・30万円は、そのまま10%(復興特別所得税を含めて10.21%)で増える
  • 副業の所得が120万円になると、合計350万円が330万円の区切りを超え、超えた20万円には20%がかかるため、増える税は副業の所得の11.9%になる

つまり、給与の所得が税率の区切りの近くにある人ほど、副業の所得の一部が高い税率になる、ということです。これとは別に、住民税(所得割)は、副業の所得のおおむね10%が増えます(副業の住民税を自分で納付にする欄)。

源泉徴収されている場合

副業の報酬から源泉徴収されている場合(原稿料・デザイン料など)は、確定申告で計算した税額から、源泉徴収された額を差し引きます。対象になる報酬と税額の計算は副業の報酬で源泉徴収されるものにまとめています。

確定申告が要るかどうかの目安(給与以外の所得が20万円を超えるか)は副業のアフィリエイト・EA販売の確定申告に、20万円以下の時の住民税の申告は副業20万円以下でも住民税の申告にまとめています。

この記事で確かめていないこと

  • 基礎控除など、所得控除の年分ごとの細かい額(課税される所得は仮の値で計算)
  • 給与収入220万円未満の細かい区分(表の注2)と、税額の端数の処理
  • 令和9年分以後の、防衛特別所得税を含めた税額

まとめ

  • 給与所得は、給与の収入から給与所得控除(令和8年分・令和9年分の表)を引いて出す。給与収入500万円なら給与所得は356万円
  • 副業で増える所得税は、給与と合わせた課税される所得が速算表のどの段階に入るかで決まる。区切りを超えると、超えた分は高い税率になる
  • 例では、課税される所得230万円の人が副業120万円を足すと、増える所得税は約14.3万円(副業の所得の11.9%)

本記事は国税庁の公表資料にもとづく計算の例であり、個別の税額を示すものではありません。正確な税額は、確定申告書等作成コーナーなどで計算してください。