青色申告の65万円控除の要件を確かめる|国税庁の説明をチェックリストに整理

青色申告の最大のメリットは、所得から最高65万円を引ける「青色申告特別控除」です。ただし、65万円の控除は、記帳の方法だけでなく、申告の出し方にも条件があります。この記事では、国税庁のタックスアンサーNo.2072「青色申告特別控除」とNo.2070「青色申告制度」(令和8年4月1日現在法令等・確認日:2026年10月21日)に書かれた要件を、チェックリストの形に整理しました。FXなど、ほかの所得の税金の扱いには触れません。

控除額は3段階

控除額 主な要件(国税庁の説明)
65万円 55万円の要件に加えて、(イ) 仕訳帳・総勘定元帳の電子帳簿保存(優良な電子帳簿の要件を満たし、届出書を確定申告期限までに提出)、または(ロ) 確定申告書・貸借対照表・損益計算書などをe-Taxで期限までに送信のいずれか
55万円 不動産所得または事業所得があり、正規の簿記(一般的には複式簿記)で記帳し、貸借対照表・損益計算書などを確定申告書に添付して、期限内に提出する
10万円 上の2つの要件を満たさない青色申告者

55万円・65万円の共通のチェックリスト

  1. 不動産所得または事業所得がある:アフィリエイトなどの収入が雑所得に当たる場合は、この控除の対象になりません。区分の考え方はアフィリエイト収入は雑所得か事業所得かにまとめています
  2. 取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)で記帳している
  3. 貸借対照表・損益計算書・所得の金額の計算に関する明細書を、確定申告書に添付する
  4. 確定申告の期限(翌年3月15日)までに提出する:還付申告書を出す人でも、55万円・65万円の控除を受けるには、期限内の提出が必要と書かれています
  5. 現金主義による所得計算の特例を選んでいない:選んでいる人は、55万円の控除を受けられません

65万円にするための、もうひとつの条件

  • 電子帳簿保存:その年分の仕訳帳と総勘定元帳を、電子帳簿保存の要件に沿って保存している。令和4年1月から、電子データのままで保存する場合の税務署長の事前承認は不要になりました。ただし、国税庁の注記には、令和4年分以後に65万円の控除を受けるには、「優良な電子帳簿」の要件を満たし、一定の事項を記載した届出書を、その年分の確定申告期限(翌年3月15日)までに提出する必要があると書かれています
  • e-Tax:確定申告書・貸借対照表・損益計算書などを、期限までにe-Taxで送信する。国税庁は、イメージデータ(スキャンしたPDFなど)での送信はできないと注記しています

会計ソフトを選ぶ時は、「電子帳簿保存に対応」「e-Taxで送信できる」のどちらか(または両方)に対応しているかを確かめます。電子帳簿保存の経路を選ぶ場合は、ソフトが優良な電子帳簿の要件に対応しているかと、届出書の提出も確かめます。なお、令和9年分以降の青色申告特別控除は改正がある場合があるため、国税庁で最新の内容を確認してください。国税庁の説明は、どちらか一方を満たせばよい、という書き方です。

よくある勘違い

  • 「e-Taxで送れば、書類はスキャンしたPDFでよい」:国税庁は、申告書・貸借対照表・損益計算書などを「イメージデータで送信することはできない」と注記しています。入力した数値のデータで送信する必要があります
  • 「会計ソフトを使えば、自動で65万円になる」:記帳が複式簿記であること、決算書を添付すること、期限内に提出することなどが前提です。ソフトは、その作業を助ける道具です
  • 「還付申告だから、期限は関係ない」:還付申告書を出す人でも、55万円・65万円の控除を受けるには、確定申告の期限(翌年3月15日)までの提出が必要と書かれています

控除の効き目の目安(計算)

65万円控除と10万円控除の差は55万円です。この差に、所得税の税率を掛けると、所得税の軽減額の目安になります(住民税・復興特別所得税・社会保険料への影響は含めない、筆者の簡易計算)。

所得税の税率 55万円の差による所得税の軽減額
5% 27,500円
10% 55,000円
20% 110,000円

実際には、控除は所得の金額が上限で、所得が55万円や65万円より少なければ、その金額までです(国税庁の注記:所得の合計額が控除額より少ない場合は、その合計額が限度)。また、税率は課税される所得の金額で決まります。この表は目安で、実際の税額は国税庁の確定申告書等作成コーナーなどで計算してください。

帳簿と書類の保存(国税庁No.2070)

  • 青色申告の帳簿・書類は、原則として7年間保存する。書類によっては5年間でよいものもある(請求書・見積書・納品書・送り状など)
  • 青色申告の特典には、青色申告特別控除のほか、青色事業専従者給与、貸倒引当金、純損失の繰越しなどがある

申告の前に、自分で確認する順番

  1. 収入が事業所得か、雑所得かを整理する
  2. 青色申告の承認を受けているか(期限内に申請したか)を確認する
  3. 使う会計ソフトが、複式簿記・電子帳簿保存・e-Taxのどれに対応しているかを確認する
  4. 決算書(貸借対照表・損益計算書)を作り、期限(翌年3月15日)までに提出する

この記事で確かめていないこと

  • 個別の事情(開業の時期、他の所得、現金主義の特例の判定など)への当てはめ。税務署や税理士に相談してください
  • 電子帳簿保存の「優良な電子帳簿」の細かい要件(国税庁の電子帳簿保存法のページを参照)
  • 各会計ソフトが、これらの要件を満たすかどうか(ソフトの公式の説明で確認してください)

青色申告ソフトの料金はやよいの青色申告 オンラインの料金で扱っています。申請の期限は青色申告承認申請書の期限、開業届の要不要はアフィリエイト・EA販売で開業届を出すかにあります。

まとめ

  • 青色申告特別控除は、65万円・55万円・10万円の3段階。65万円は、電子帳簿保存かe-Taxの条件が加わる
  • どれも、事業所得または不動産所得があり、複式簿記で記帳し、決算書を添付して期限内に提出することが土台
  • e-Taxの送信は、イメージデータ(スキャンしたPDFなど)では受け付けられない
  • 収入が雑所得に当たる場合は、控除の対象外。区分を先に確かめる

本記事は国税庁の公開情報の整理であり、個別の税務相談ではありません。実際の判断は、税務署や税理士にご相談ください。