個人事業税の届け出と計算|開業から15日以内の申告書と、事業主控除290万円

税務署に開業届を出すと、それで手続きが終わったように感じますが、事業には都道府県の税金「個人事業税」もあり、都道府県への届け出が別に定められています。東京都では、事業を始めた日から15日以内に「事業開始(廃止)等申告書」を出すことになっています。この記事では、東京都主税局の説明をもとに、個人事業税がかかる事業、届け出の期限、税額の計算を、副業の規模の例で確かめます。

(確認:東京都主税局「個人事業税」のページ(仕事と税金)、国税庁「確定申告の手引き」(令和7年分)の住民税・事業税に関する事項。確認日:2026年10月21日。都道府県ごとに期限や手続きが違う場合があるため、この記事は東京都の例です)

個人事業税がかかるのは「法定業種」の事業所得

東京都主税局の説明では、個人事業税は、個人が営む事業のうち、地方税法などで定められた事業(法定業種)にかかる税金で、法定業種は70業種あり、ほとんどの事業が該当する、とされています。税率は業種で分かれています。

区分 税率 業種の例(東京都の一覧から)
第1種事業(37業種) 5% 物品販売業、広告業、請負業、代理業、出版業、印刷業など
第2種事業(3業種) 4% 畜産業、水産業、薪炭製造業
第3種事業(30業種) 5%(一部3%) デザイン業、コンサルタント業、税理士業などの士業、理容業など

課税の元になるのは、事業所得(または不動産所得)です。副業の収入を雑所得として申告している場合は、事業税の計算の対象の「事業の所得」に入らないと読めます。アフィリエイトやEA販売が、どの業種に当たるか(当たらないか)は、一覧の名前だけでは判断できず、都道府県が個別に判断します。この記事では判断していません。所得の区分の考え方はアフィリエイト収入は雑所得か事業所得かにまとめています。

届け出と申告の期限(東京都)

手続き 期限(東京都主税局)
事業開始(廃止)等申告書(開始) 事業の開始の日から15日以内に、所管の都税事務所などへ
同(廃止・住所や事業所地の変更) 廃止または変更の日から10日以内(死亡による廃止は30日以内)
個人事業税の申告 毎年3月15日まで。ただし、所得税の確定申告や住民税の申告をした人は、事業税の申告は不要
納付 原則として8月と11月の年2回(第1期8月31日・第2期11月30日、休日なら翌日)

事業開始等申告書は、東京都では「LoGoフォーム」からも出せる、と案内されています。所得税の確定申告書には、第二表に「住民税・事業税に関する事項」の欄があり、事業税の申告を兼ねる仕組みです(国税庁の手引き)。

税額の計算

東京都主税局の説明では、課税標準は、事業所得に、青色申告特別控除額を足し戻し(事業税には青色申告特別控除の適用がないため)、事業主控除(年290万円、営業期間が1年未満なら月割)を引いたものです。これに業種の税率をかけます。

# 個人事業税の目安(東京都主税局の説明にもとづく筆者の計算。端数の処理は省略)
#   課税標準 = 事業所得 + 青色申告特別控除額(事業税には適用がないので足し戻す) - 事業主控除
#   事業主控除:年290万円(営業期間が1年未満なら月割。ここでは月数×290万円÷12で計算)
#   税率:法定業種ごとに 5%・4%・3%(業種に当たらなければ課税されない)
def business_tax(income, aoiro=0, months=12, rate=0.05):
    deduction = 2_900_000 * months / 12
    base = max(0, income + aoiro - deduction)
    return deduction, base, base * rate

cases = [
    ("東京都の例:所得300万円・青色65万円・通年", 3_000_000, 650_000, 12),
    ("副業:所得100万円・青色65万円・通年", 1_000_000, 650_000, 12),
    ("副業:所得250万円・青色65万円・通年", 2_500_000, 650_000, 12),
    ("10月に開業:所得100万円・白色・3か月", 1_000_000, 0, 3),
]
for name, inc, ao, m in cases:
    d, b, t = business_tax(inc, ao, m)
    print(f"{name}: 事業主控除 {d:,.0f}円 / 課税標準 {b:,.0f}円 / 税額(5%) {t:,.0f}円")

計算の結果(Python 3)

東京都の例:所得300万円・青色65万円・通年: 事業主控除 2,900,000円 / 課税標準 750,000円 / 税額(5%) 37,500円
副業:所得100万円・青色65万円・通年: 事業主控除 2,900,000円 / 課税標準 0円 / 税額(5%) 0円
副業:所得250万円・青色65万円・通年: 事業主控除 2,900,000円 / 課税標準 250,000円 / 税額(5%) 12,500円
10月に開業:所得100万円・白色・3か月: 事業主控除 725,000円 / 課税標準 275,000円 / 税額(5%) 13,750円
  • 東京都主税局の例(所得300万円・青色申告特別控除65万円)は、37,500円で、説明の例と一致しました
  • 事業主控除が年290万円あるため、副業で事業所得100万円(青色65万円)なら、課税標準は0円で、事業税はかかりません
  • 事業所得250万円(青色65万円)になると、290万円を超えた25万円に5%で、12,500円です
  • 年の途中で始めると、事業主控除が月割で小さくなります。10月開業(3か月)なら72.5万円で、事業所得100万円でも13,750円かかる計算です(月数の数え方は、この記事では1か月単位で仮定)

青色申告特別控除の65万円は、所得税では差し引けますが、事業税では足し戻すため、事業税を減らす効果はありません。青色申告の65万円の要件は青色申告の65万円控除の要件にまとめています。

開業の時にやることの順番

  1. 税務署に開業届(開業から1か月以内)と、必要なら青色申告承認申請書(提出期限)
  2. 都道府県(東京都なら都税事務所)に事業開始等申告書(東京都は15日以内)
  3. 確定申告書の第二表の「住民税・事業税に関する事項」を、開業・廃業の日などに合わせて書く

開業届の書き方は個人事業の開業・廃業等届出書の書き方に、開業届を出すかどうかの判断は副業でアフィリエイト・EA販売を始めたら開業届は出すかにまとめています。

この記事で確かめていないこと

  • 東京都以外の道府県の期限と手続き(道府県の税事務所の案内で確認)
  • アフィリエイト・EA販売が法定業種に当たるか(都道府県の判断)
  • 事業主控除の月割の月数の数え方と、税額の端数の処理

まとめ

  • 個人事業税は都道府県の税で、法定業種(70業種)の事業所得にかかる。雑所得として申告している副業は、計算の対象の事業の所得に入らないと読める
  • 東京都では、開業から15日以内に事業開始等申告書を都税事務所へ。税の申告は、所得税の確定申告をしていれば不要
  • 事業主控除が年290万円あるため、事業所得が290万円以下(青色控除の足し戻し後)なら税額は0。年の途中の開業は控除が月割で小さくなる

本記事は東京都主税局の公表情報にもとづく一般的な計算の例です。個別の課税の判断は、都道府県の税事務所で確認してください。