シンのWordPress簡単移行の条件|版の範囲・移らないデータと、移行元の点検

シンレンタルサーバーには、他社のサーバーで動いているWordPressを、移行元のURLとログイン情報を入れるだけで移す「WordPress簡単移行」があります。便利な反面、WordPressの版(4.2〜7.1)やPHPの版の要件、マルチサイトやデータベースが2GBを超える場合は使えないなどの条件があり、.htaccess など移らないデータもあります。この記事では、公式マニュアルの条件を整理し、移行元のサイトを外から点検するPythonを、当サイトで実行した結果とともに載せます。

(確認:シンレンタルサーバー マニュアル「WordPress簡単移行」。確認日:2026年10月30日。実行:同日、Windows 11・Python 3で当サイト realine.net に対して。筆者はシンレンタルサーバーで実際に移行してはいません)

マニュアルに書かれている条件

項目 マニュアルの記載
動作要件 WordPressの版が4.2〜7.1、PHPの版が7.2以上
エラーになる場合 マルチサイト機能を使っている/データベースの容量が2GBを超える/WordPress.comからの移行/PHPからtar・zipのコマンドもzipモジュールも使えない
移るデータ /wp-content のデータ(画像・プラグイン・テーマなど)と、データベースの中身(記事・各種設定)
移らないデータ 移行元の .htaccess、バックアップ用プラグインが作ったデータ、/wp-content 以外のデータやプラグインの設定、WordPressの本体の構造を変えている場合(カスタマイズ・セキュリティ・キャッシュのプラグインが当たる可能性がある、とされている)
移行後の版 WordPressのマイナーバージョンが最新に更新される
ネームサーバー 移行作業が終わってから変更する
複数回の実行 「ログイン試行回数制限」をONにしたまま複数回実行するとエラー。30分以上あけるか、OFFにして実行する
入力する情報 移行元のURL、移行元のWordPressのユーザー名とパスワード、移行先のURL(先に「ドメイン設定」でドメインを設定しておく)

移行中は、移行元のWordPressに「Xserver Migrator」というプラグインが入り、正常に終われば自動で削除される、とも書かれています。httpsのサイトを移す場合は、SSL証明書の発行のために移行元に一時ファイルが作られます。

コード:移行元を外から点検する

要件のうち、ログインせずに外から確かめられるのは、WordPressの版(フィードに出ている場合)、https、ログイン画面が開くか、WordPress.comのサイトか、の4つです。ただし WordPress.com かどうかは URL(〜.wordpress.com)で見ているだけで、独自ドメインで公開している WordPress.com のサイトは見分けられません。

# シンレンタルサーバーの「WordPress簡単移行」の動作要件のうち、移行元のサイトを外から確かめられるものを調べる(読み取りのみ・ログインしない)
# 公式マニュアルの動作要件:WordPress 4.2〜7.1、PHP 7.2以上。マルチサイト・DB 2GB超・WordPress.com からの移行はエラー
# 使い方: python shin_migrate_precheck.py https://example.com
import sys
import re
import urllib.request
import urllib.error

WP_MIN, WP_MAX = (4, 2), (7, 1)   # マニュアルに書かれた範囲(2026年10月30日確認)
TIMEOUT = 20
UA = {'User-Agent': 'Mozilla/5.0 (migrate-precheck)'}


def get(url):
    req = urllib.request.Request(url, headers=UA)
    try:
        with urllib.request.urlopen(req, timeout=TIMEOUT) as r:
            return r.status, r.geturl(), r.read().decode('utf-8', 'replace')
    except urllib.error.HTTPError as e:
        return e.code, url, ''
    except (urllib.error.URLError, TimeoutError) as e:
        return None, url, str(e)


site = (sys.argv[1] if len(sys.argv) > 1 else 'https://realine.net').rstrip('/')
print(f'移行元: {site}')

# 1) WordPressの版(フィードの generator に出ている場合)
code, _, body = get(site + '/feed/')
m = re.search(r'wordpress\.org/\?v=(\d+)\.(\d+)(?:\.(\d+))?', body)
if m:
    ver = (int(m.group(1)), int(m.group(2)))
    full = '.'.join(g for g in m.groups() if g)
    inside = WP_MIN <= ver <= WP_MAX
    print(f'WordPressの版: {full} → 要件 {WP_MIN[0]}.{WP_MIN[1]}〜{WP_MAX[0]}.{WP_MAX[1]} の{"範囲内" if inside else "範囲外"}')
    if ver == WP_MAX:
        print('  注意: 要件の上限と同じ版。本体を次の版へ更新すると、要件が更新されるまで範囲外になりうる')
else:
    print('WordPressの版: フィードに表示なし(管理画面で確かめる)')

# 2) https で開くか(移行元URLで https を選ぶと、移行先も https になる)
print(f'HTTPSのURL: {"はい" if site.startswith("https://") else "いいえ"}')

# 3) ログイン画面が外から開くか(簡単移行は、移行元のユーザー名とパスワードでログインして移す)
code, final, body = get(site + '/wp-login.php')
print(f'ログイン画面 /wp-login.php: HTTP {code}' + ('' if final.endswith('/wp-login.php') else f'(転送先 {final})'))

# 4) WordPress.com のサイトか(WordPress.com からの移行は対象外)
print(f'URLが 〜.wordpress.com か: {"はい(対象外)" if ".wordpress.com" in site else "いいえ(独自ドメインのWordPress.comは、この方法では見分けられない)"}')
print('マルチサイトか・DBの容量・PHPの版は、外からは分からない(移行元の管理画面とサーバーで確かめる)')

実行の結果(realine.net)

移行元: https://realine.net
WordPressの版: 7.1.4 → 要件 4.2〜7.1 の範囲内
  注意: 要件の上限と同じ版。本体を次の版へ更新すると、要件が更新されるまで範囲外になりうる
HTTPSのURL: はい
ログイン画面 /wp-login.php: HTTP 200
URLが 〜.wordpress.com か: いいえ(独自ドメインのWordPress.comは、この方法では見分けられない)
マルチサイトか・DBの容量・PHPの版は、外からは分からない(移行元の管理画面とサーバーで確かめる)
  • 当サイトのWordPressは7.1.4で、要件の「7.1」と同じ系列。7.1.xが範囲に入るかは、マニュアルの表記からは「入る」と読める(筆者の読み方)
  • WordPressの本体が次の版(7.2など)へ上がると、マニュアルの要件が更新されるまで、範囲の外になりうる。移す予定があるなら、移す前に要件を見直す
  • マルチサイトかどうか、データベースの容量、PHPの版は、外からは分からない

当サイトで気づいたこと

簡単移行は、移行元のユーザー名とパスワードでログインしてデータを移します。当サイトのログイン画面には、セキュリティのプラグインによる計算問題が出る設定があります。こうしたログインの保護が、移行の自動ログインを通すかは、この記事では確かめていません。マニュアルにも、セキュリティ関連のプラグインを使っている場合は移らない設定がありうると書かれているため、移す前に一時的にゆるめるか、手動の移転を選ぶことを考えます(筆者の考え)。手動の手順はWordPressをサーバー移転する手順にあります。

移す前のチェック(筆者の考え)

  1. 移行元のバックアップを取る(ファイルとデータベースの両方)
  2. データベースの容量が2GBを超えていないか、移行元のサーバーの管理画面で見る
  3. .htaccess に書いた設定(転送・アクセス制限など)を控えておく。移行先で書き直す
  4. ネームサーバーを変える前に、移行先のサイトを自分のPCから見て確かめる(移転先のWordPressを公開前に見る方法)

この記事で確かめていないこと

  • 簡単移行で実際にかかる時間と、ログインの保護(計算問題・2段階認証など)がある場合の動き
  • WordPress 7.1.x のどの版まで要件に入るかの、公式の明示
  • 移行元のサーバーの種類による違い

まとめ

  • シンレンタルサーバーのWordPress簡単移行は、WordPress 4.2〜7.1・PHP 7.2以上が要件。マルチサイト・DB 2GB超・WordPress.comからは使えない
  • .htaccess、/wp-content 以外のデータ、一部のプラグインの設定は移らない。ネームサーバーは移行後に変える
  • 版・https・ログイン画面は外から確かめられる。版が要件の上限に近い時は、移す前に要件を見直す

本記事はシンレンタルサーバーの公式マニュアルの記載と、当サイトでの実行の結果にもとづく整理です。条件は変わることがあるため、移す前に公式で確認してください。料金とプランはシンレンタルサーバーの料金とプランにまとめています。